米大統領候補討論会に高い関心

米大統領候補のテレビ討論会の最終回が1022日、激戦州とされるフロリダ州で行われ一連の舌戦に幕を閉じた。大統領候補による討論会は3回、副大統領候補は1回開かれたが、すべて地上波テレビネットワークとニュース専門局により全国向けに生中継された。視聴者数を見ると、大統領候補によるものはいずれも前回2008年の討論会のものを上回り、終盤にかけて接戦となっている選挙の行方に高い関心が寄せられていることが浮き彫りになった。

 

オバマ大統領(民主党)とロムニー元マサチューセッツ州知事(共和党)両候補による第1回目の討論会は103日にコロラド州デンバーで開催されたが、この時の視聴者数はテレビ局11社合わせて6720万人と1980年以来の高記録となった。16日、ニューヨーク州で開かれた第2回には6560万人が、最終回には5920万人がチャンネルを合わせ、全討論会には延べ19200万人が見入ったことになる。討論会はそれぞれ米東部時間午後9時から10時半まで行われた。

 

視聴者数が第1回目に比べ10%も下回った最終回については、裏番組に米テレビ界で圧倒的な人気を誇る米プロフットボール・リーグ(NFL)の中継番組の一つ『マンデー・ナイト・フットボール(MNF)』に加え、米大リーグ、ナショナル・リーグの覇者を決めるシリーズ最終戦と、強力な人気番組がぶつかったことが指摘されている。MNF(スポーツ専門局ESPN放送)は1070万人、ナ・リーグ決勝戦(Foxネットワーク中継)は810万人の視聴者数を獲得した。討論会、アメフト試合、大リーグ決勝戦の合計視聴者数は7800万人にも達し、生中継番組ならではの番組の威力が発揮された夜(メディア業界誌バラエティー)となった。


ちなみに、11日、ケンタッキー州で開催された副大統領候補の討論会は5140万人の視聴者を獲得したが、08年のバイデン(民主党)候補と女性候補でカラフルな発言でメディアの注目を集めたペイリン候補(共和党)の6990万人には遠く及ばなかった。


なお、討論会最終回では、ニュース専門局Foxニュース・チャンネル(FNC)が視聴者数1148万人を獲得したことが特筆される。地上波ネットワークNBC1239万人、ABCネットワークの1173万人に迫ったばかりか、開局以来最高の視聴者数を記録し、ニュース専門局ナンバーワンの存在感を改めて印象付けた。ケーブル局の中ではFNCに大きく水を開けられたCNNの視聴者数が581万人、MSNBC406万人に留まった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>