タブレットはテレビの代替器ならず

米国ではタブレット型多機能端末の人気が上昇中。年末商戦の目玉商品になりそうだ。世界市場においてもタブレット販売促進のための広告合戦が熱を帯びそうで、広告代理店M&Cサーチ・モバイルによれば、年末に向けた同機器の広告費は一挙に25%増、多機能携帯電話(スマートフォン)向け広告費を上回る勢いだという。

 

そのタブレット、「家庭内で場所を選ばないパーソナルなテレビ視聴に向いている」とされていることから、米国では放送事業者などが番組視聴用のタグレット向けアプリケーションを積極的に提供している。そのため、「タブレット経由の番組視聴に拍車がかかればテレビ受像機が不要になる」などの声も聞かれるが、テレビがタブレットに侵食されている傾向は見当たらないことが明らかになった。

 

英調査会社Diffusion Group(ディフュージョン・グループ)が米国内のタブレット利用状況を調べたところ、「タブレット購入後も、テレビ番組は今まで通りテレビで見ている」と答えた人が、1849歳層で46.2%50歳以上が46.4%と、「テレビを見なくなった」と答えた1849歳層(4.7%)と50歳以上(7.1%)を大きく引き離している。「かえってテレビで番組を良く見るようになった」と答えた人も、1849歳層(5.1%)、50歳以上(10.7%)だった。


そして、「タブレットを使ってテレビ番組を見る」と答えた人は若者層に偏っていることも判明した。タブレットを保有している35歳以下の半数以上が「毎週のようにタブレットで番組を見ている」と答えたのに対し、55歳以上の保有者は19%に留まっている。また、タブレットを利用してテレビ番組を見る若者層の多くがテレビを見ながらタブレットで友人らと番組について会話(SNS経由)をしていることも浮き彫りになり、タブレットが“マルチタスキング”を助長していることも鮮明になった。


タブレットの使い道の中で一番多かったのが、「電子メールの送受信」で全体の65%。「ニュースをチェックする」もほぼ同数の64%だった。その他は、「ゲームをする」が60%、「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)通信に使う」(56%)、「電子書籍を読む」(43%)、「映画を見る」(38%)、「オンライン・ショッピングに使う」(36%)などと続いている。


米国内のタブレット普及率について全米家電協会(CEA)ではインターネット利用者の29%ほどに達していると推定している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>