米世帯のHDTV普及率が75%に

米国で高精細(HD)テレビ受像機を保有する世帯が全体の四分の三に達していることが分かった。米国で視聴率やテレビ視聴習慣の調査にあたるニールセン社がこのほど発表したところによると、HD世帯数は昨年比14%増となる約8300万軒。複数のHDテレビを所有する世帯は全体の40%を占めることも明らかになった。ニールセンではHDテレビに切り替える家庭が今後も増加し続けると見ている。

 

しかしHDテレビ普及率の増加とは別に、HDテレビの機能が十分に生かされていないことも判明した。125月の米市民の視聴状況を見ると、プライムタイム(午後811時)番組の61%HDテレビ受像機で見られているが、実際にHD画質で視聴された番組は地上波テレビ放送番組の29%、ケーブル局では25%といずれも極めて低い率だったことが分かった。

 

これは、HD受像機を所有する世帯の中で、HDシグナルの受信が可能なセット・トップ・ボックス(STB)や受信機などを備えている世帯が少ないためだ。米国では約9割のテレビ世帯がペイテレビ・事業者と呼ばれるケーブルテレビ(CATV)や衛星放送、さらには電話会社が提供するIPTVサービスに加入してテレビを見ているが、従来からリースしているSD(標準画質)用のSTBHDテレビに接続してテレビを見ている世帯が多いためと思われる。HD番組視聴が可能となるSTBは別途特別料金を支払わなければならないわずらわしさも障害になっているようだ。


ちなみに、各ペイテレビ事業者は、例えばニューヨーク・マンハッタン区をサービスエリアとしてるCATV大手タイム・ワーナー・ケーブルの場合、ABCネットワーク系列局をSDテレビ向けに7チャンネル、HDテレビ向けには707チャンネルなどと、並行して配信している社が大半だ。


調査では、HD番組で人気となっているのがスポーツやエンターテイメント系の番組。HDで見られていない番組は報道や子供向け番組であることも浮き彫りになった。


ところで、HDテレビの普及にともなって、コマーシャル(CM)もHD画像で放送されるようになっている。米ビデオ広告配給会社「Extreme Reach」によれば、現在米国内のテレビで流れているのCM25%HD版。過去2年間で150%増の伸びを示しているという。HD画質で制作されているCMの中身を見ると、政治広告が全体の51%と最も多く、これに娯楽系CM50%、金融サービス系CM44%、小売業界や自動車業界のHDCMはそれぞれ26%となっている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>