
米ケーブルテレビ(CATV)最大手でメディア企業NBCユニバーサル(NBCU)を傘下に置くコムキャストがこのほど2012年7-9月期決算を発表した。同期の純利益は米通信大手ベライゾン・ワイヤレスへの周波数売却やケーブル局A&Eテレビジョン・ネットワークスの持ち株売却、さらにはロンドン五輪放送の成功などが寄与し、純利益は前年同期比約2.3倍となる21億1300万㌦を記録した。売上高は前年同期比15.4%増となる165億4400万㌦に達し、市場予測を上回る大幅増収増益となった。
CATV部門を見ると、根幹ビジネスであるビデオ(番組配信)サービスは、同期11万7000軒の加入世帯を失ったものの、一軒当たりの月額平均加入料が前年同期比8.7%増となる150.73㌦となり売上が増大した。また、ブロードバンド通信の新規加入世帯数が同8.8%増となったほか、中小企業向けブロードバンドが同33.6%増となり、同部門の売上高は前年同期比6.9%増となる99億7000万㌦に達した。

NBCUを見ると、米国内で独占放送したロンドン五輪が大成功を収めたことが大きく貢献。売上高は前年同期比31.2%増となる68億㌦を記録した。部門別で見ると地上波テレビ放送(NBCネットワーク他)の売上高は同83.8%増にもなる27億7700万㌦に達した。
ロンドン五輪放送の成功について、コムキャストの最高経営責任者(CEO)ブライアン・ロバーツ氏は、「五輪放送が採算の取れる事業であることが確認され、これまで以上に自信を深めた」と述べている。コムキャストの最高財務責任者(CFO)のマイケル・アンジェラキス氏によればロンドン五輪の収入は約12億㌦に達した模様。「放送外収入などを鑑みれば収支はとんとんだった」ことを発表した。さらに9月から始まった新シーズンでNBCネットワークが好調なスタートを切っていることについて、五輪期間中に放送した新番組宣伝が功を奏したことも指摘された。
相変わらず堅調なケーブル局部門の売上高は、主にCATVや衛星放送などペイテレビ事業者から入る配信料収入が同5.7%増となったことなどから前年同期比3.2%増の21億6500万㌦。
前期(4-6月期)不調だった映画部門は、『ボーン・レガシー』(ユニバーサル映画)などのヒット作に恵まれたことから、売上高は前年同期比23.6%増となる13億5500万㌦となった。
カリフォルニア州ハリウッドとフロリダ州オーランドにあるユニバーサル・スタジオも好調でテーマパーク部門の売上高は同5.8%増5億2500万㌦だった。