CBS、放送外収入好調で増収増益

傘下に地上波テレビ放送CBSネットワークと直営局、テレビ番組制作会社CBSテレビジョン・スタジオ、そしてCBSラジオ放送網、さらには屋外広告事業にあたるCBS Outdoor(アウトドアー)などを抱える米メディア企業CBSコーポレーションがこのほど79月期の決算報告を発表した。主力部門である放送エンターテイメント部門が健闘し、増収増益となった。


放送部門は広告収入が若干減少したが、番組再送信にあたるペイテレビ事業者(CATV、衛星放送、電話会社)から徴収する配信料の値上げやインターネット上の番組配信会社などへの番組販売が大きく寄与し、グループ全体の売上高は前年同期比1.5%増となる342000万㌦。純利益は同16%増の39100万㌦だった。

 

CBSは売上全体の6割を広告収入に頼っており、メディア企業の中でも広告収入依存度の最も高い企業とされている。しかし、同社CEO(最高経営責任者)のレスリー・ムンベス氏(写真・上)は、好調だった決算について、「広告収入依存型から(番組販売・配信による)放送外収入への経営転換が引き続きうまくいっている証拠だ」と胸を張った。

 

その広告収入、前年同期比3%減となる19億㌦。減収の主な原因はラジオ放送網の不振に加え、同期に開催された米民主・共和両党の党大会のために、プライムタイム番組が6日間にわたり犠牲になったこと。さらに、NBCが独占放送したロンドン五輪放送にスポンサーを奪われたことも大きな要因となった。


一方、ペイテレビ・サービスから得る番組配信料収入は前年同期比12%増となる49600万㌦。ストリーミング・サービス事業者Netflix(ネットフリックス)などへの番組販売収入は同8%増の93100万㌦と好調で、広告収入減を補完した。CBSはテレビ番組のインターネット配信で人気のHulu(フールー)に出資しない唯一の主要メディア企業だが、このほどフールーとの間に米テレビ史上最高のコメディー番組などとされる『アイ・ラブ・ルーシー』(195157年放送)など往年の人気番組の番組販売契約を締結、番組のデジタル配信に積極的に取り組んでいく姿勢を示している。ネットフリックスには現在放送されている番組の配信も検討している模様だ。

 

他部門を見ると、エミー賞受賞番組『ホームランド』を放送する有料チャンネル「ショータイム」の売上高は同4%43600万㌦。出版部門は書籍の売上が低迷し、売上高は同5%減少となる21000万㌦だった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>