TW、映画・出版不調で3%強減収

ケーブル局を含む放送部門や出版部門、さらには映画部門などを傘下に置く米メディア企業大手「タイムワーナー」(TW)がこのほど発表した79月期決算は、出版部門と映画部門が好調だった放送部門の足をひっぱるかたちで、売上高は前年同期比3.2%減となる68億㌦だった。純利益は同1.9%増の83800万㌦と市場の予測を上回った。

 

映画部門は同期、バットマンの新作『ダークナイト・ライジング』の興行成績が良かったものの、昨年同期の超ヒット作『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part 2』には遠く及ばなかったため、同部門の売上高は同約12%減少となる289700万㌦に留まった。さらに不調だったのが出版部門であるタイム・インク。ピープル・マガジンやスポーツ・イラストレイテッドなど有力雑誌を数多く抱えるが、販売部数及び広告収入が減退し、売上高は同6%減となる83800万㌦だった。

 

これに対し、好調だったのが放送部門。メイン・チャンネルTBS(ターナー・ブロードキャスティング・システム)のプライムタイム視聴者数が広告主がターゲットにしている1849歳層で35%も上昇し、広告収入に寄与したほか、CATV(ケーブルテレビ)や衛星放送さらには電話会社が提供するIPテレビなど、ペイテレビ・サービスと呼ばれる番組送信事業者から得る配信料が同7%増となるなどグループ全体に貢献。同部門の売上高は4.1%増の333900万㌦。営業利益は12%12億㌦となり四半期ベースでは過去最高となった。

 

ところでTWCEO(最高経営責任者)、ジェブリー・ビューケス氏は傘下のニュース専門局CNNについて触れ、大型ハリケーン「サンディ」や米大統領戦報道で善戦したものの、引き続き大きなニュースがない平常時の視聴率底上げが課題であることを強調した。


また、MLB(米大リーグ)と独占放送権の契約を延長したことや、地上波テレビネットワークで放送されている人気コメディー番組『ビッグバンセオリー/ギークなボクらの恋愛法則』の再放送版がTBSで大ヒットしていること。さらには総合番組編成局TNTで放送されているオリジナル番組『The Closer』などが相変わらず高視聴率を誇っていることなどを挙げ、「今後も放送部門は好調さを持続していくことは間違いない」との見通しを示した。なお、好調なケーブル局のおかげで、ペイテレビ事業者に対し14年までに現行比10%増の配信料を課すことも可能になるとの見方も出ている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>