ディズニー、ESPNやテーマパーク好調

米メディア・娯楽企業大手ウォルト・ディズニーがこのほど発表した201279月期決算報告によれば、傘下のスポーツ専門局ESPNや海外のテーマパークが好調だったことから、純利益は前年同期比14.4%増となる124400万㌦に達した。売上高は同3%に留まる1078200万㌦だった。


部門内で最も業績の良かったのが放送部門の中のケーブル局群。特に、今やグループ全体にとって屋台骨的存在となっているESPNの貢献度が絶大だ。CATV(ケーブルテレビ)事業者や衛星放送、さらにはIPテレビを提供する電話会社など、いわゆるペイテレビ事業者から支払われるESPNへの配信料の値上げを獲得したことが大きい。

若者向けのディズニー・チャンネル好調も手伝って、ケーブル局群の営業利益は前年同期比9%増となる138000万㌦となった。

 

ただ、ESPNについてはMLB(米大リーグ)やNFL(米プロフットボール協会)に支払う新放映権料が17000万㌦の増額になるなど番組予算が重荷になってくることは必至で、今後の業績に大きな影を落とす可能性を指摘する声も挙がっている。

 

ケーブル局群に加え、地上波テレビABCネットワークや直営ローカル局などを含む放送部門全体の売上高は、前年同期比2%増に留まる488000万㌦だった。ディズニー社のボブ・アイガーCEOABCについて、「ヒット作が少なかったこと、ロンドン五輪放送という強敵があったこと、さらにはDVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)の普及によるリアルタイム視聴の低下などで広告収入が減少した」と分析した。営業利益は同7%増となる157000万㌦。

ケーブル局群とならんで好調だったのが、テーマパーク部門。米国内ではほぼ横ばいの業績だったが、パリと香港のディズニー・ランド入場者数が大幅に伸び、売上高は9%増の34億㌦、営業利益は18%49700万㌦を計上した。


また、キャラクター商品などを含む商品部門も好調だった。スパイダーマンやアベンジャーズ関連商品の売れ行きに勢いがあり、同部門の営業利益は前年同期比一挙に29%増加の26700万㌦を記録した。売上高は同8%88300万㌦。

 

一方、不調だったのが映画部門。米国内では大ヒットとなった『アベンジャーズ』のDVD版の売れ行きが好調だったものの、期待を寄せたアニメ映画『Brave(メリダとおそろしの森)』が世界市場で低迷し、同部門の営業売上高は4%減少し14億㌦。営業利益も32%減となる8000万㌦に低迷した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>