米ニュース専門局の先駆者CNNテレビの上部組織CNNワールドワイドの次期社長に米メディア企業大手NBCユニバーサル(NBCU)の前CEO(最高経営責任者)ジェフリー・ザッカー氏(47)(写真)が就任することになった。米メディア企業大手タイムワーナー傘下で、CNNワールドワイドを管轄するターナー・ブロードキャスティング・システムが29日発表した。今年いっぱいで退任するジム・ウォルトン現社長(54)の後任となる。
CNNワールドワイドは海外市場での業績が好調で今年は年収6億㌦を見込んでいるが、米国内向けチャンネルCNNの不振ぶりが深刻な問題になっている。今年は米大統領選挙の年、本来ならCNNの独壇場だが、投開票日を含む11月中旬までの平均視聴者数は41万2000人と前年同期比16%も落ち込む悲惨な状況だ。
タイムワーナーのジェフリー・ビューケスCEOも決算報告の際などに、「視聴率が低迷し続ければ広告収入ばかりかブランド・イメージの低下にもつながりかねない。CNN以外の姉妹局にも影響を及ぼすことになる」などと懸念を示していた。ビューケス氏は新社長選びにも直接関与してきた模様だ。
今後は米メディア界の大物ザッカー氏に経営を委ねることになるが、かつてニュース専門局として圧倒的な人気と影響力を誇っていたCNNを復活させることが至上命令。大事件や事故が起きていない平常時に、いかに視聴者を引き付けることが出来るのか。また、保守派で売るFoxニュース・チャンネルとリベラル色を前面に押し出し成功しているMSNBCという強敵を相手に中道色を残しつつどこまで勝負できるかが大きな課題だ。
ザッカー氏は、NBCネットワークの朝の情報番組『トゥデー』を8年間にわたり不動のナンバーワン番組に仕立てたあと、プライムタイム編成の責任者などを経て、NBCの親会社NBCUのCEOに上り詰めた輝かしい経歴の持ち主。2年前にCATV最大手コムキャストがNBCUの経営権を握った段階でNBCUを去っている。現在はシンディケーション番組『ケイティー』のエクゼクティブ・プロデューサー。
「NBCU時代に傘下の様々なケーブル局運営にも手腕を発揮した」「番組編成に思い切った決断をする能力を兼ね備えている」などと、ザッカー氏の辣腕ぶりに期待が寄せられている。
CNNワールドワイドはCNNのほかHLN(旧ヘッドライン・ニュース)、CNNインターナショナル、スペイン語放送のCNNエスパニュール、CNNラジオなど23部門を傘下に置いている。