Viacom 広告収入・映画不振で大幅減収

若者向け人気ケーブル局MTVや子供向け専門局ニコロデオンなどケーブル局群、さらにはパラマウント映画などを傘下に置く、米メディア企業大手バイアコムが発表した7-9月期決算は、放送部門の広告収入が減少したことと映画部門の不調で売上高は前年同期比17%減少となる405000万㌦だった。純利益はグループ全体にわたった経費削減策などが功を奏して、同12%64300万㌦となった。

減収の一大要因となった放送部門を見ると、子供向けチャンネルとして圧倒的な人気を誇ってきたニコロデオンの不振が大きい。『ティーンエージ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』など新番組を投入したものの、即効性のあるカンフル剤にはなっておらず、同チャンネルの広告収入は6%も減少してしまった。

 

バイアコムのCEO(最高経営責任者)フィリップ・ダウマン氏は、特にニコロデオンについて言及、「同チャンネルの視聴率不振が、会社全体に大きな打撃を与えている」と述べている。同局については1012月期にかけ視聴率が改善する兆しが見えてきたものの、引き続き広告収入が低迷するとの見方を示しており、グループ全体の足かせになる状況がしばらく続くことになりそうだ。


ケーブル局群の不振はニコロデオンに留まらない。若者に人気のMTVも大人気となったリアリティー番組『Jersey Shore:マカロニ野郎のニュージャージー・ライフ』が今季をもって終了することになっており、先行きが不安だ。ダウマン氏は、これら人気チャンネルの建て直しを最重要課題として挙げており、MTVやニコロデオンの編成担当に新しい責任者を任命したこと、視聴率低下傾向の流れを変えるために各チャンネルに複数の新番組を投入して行く方針を明らかにしている。放送部門全体の営業利益は、新番組開発や制作費が響き、同3%減少となる93300万㌦だった。

 

そして、ケーブル局と並んで不振だったのが映画部門。ヒット作『トランスフォーマー:ダークサイド・ムーン』があった前年同期に比べ今期封切られたのはドキュメンタリー映画『ケイティ・ペリ:パート・オブ・ミー』1本のみ。同部門の売上高は前年同期比39%も落ち込む109000万㌦に留まった。バイアコムでは封切る映画を年間15本に限定する新戦略を打ち出しており、トランスフォーマのような大型予算のものと低予算で制作する映画を織り交ぜて、同部門の増益を図っていくという。

<テレビ朝日アメリカ 北清>