2012年米テレビ界を総括すると、圧倒的な強さを見せたのがスポーツ番組。リアリティー番組はかなり健闘したがドラマやコメディー番組人気はまばらだった。米調査会社ニールセンがこのほど発表した12年人気番組トップ10の番付表から浮かび上がる勢力図だ。
レギュラー編成番組では、トップ10中スポーツ番組が首位を含め3番組(下記表*印)を占めているのが特筆される。
首位にランクされたのが地上波テレビNBCネットワークのNFL(米プロフットボール・リーグ)主催の試合中継番組『サンデーナイト・フットボール』。平均視聴者数2123万人を獲得、2011年にナンバーワン番組にランクされていたFoxネットワークのオーディション番組『アメリカン・アイドル』を抑え堂々首位の座を射止めた。2位にランクされたアメリカン・アイドルの平均視聴者数を300万人強も上回る圧倒的な勝利だった。
このほか、ABCネットワークのダンス・コンテスト番組『ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ』やNBCのオーディション番組『ヴォイス』が上位にランクされ、ドラマ番組で10位以内に上がったのはCBSネットワークの犯罪捜査ドラマ『NCIS:ネイビー犯罪捜査班』(7位)とCBSの『Vegas(ベガス)』(60年代ラスベガスで活躍した保安官をめぐるドラマ)のみ。通常はネットワークテレビ番組が独占するトップ10にスポーツ専門ケーブル局のNFL番組『マンデー・ナイト・フットボール』がランクされたことが特筆される。
また、特別番組のカテゴリーを見ると、例年通りトップにランクされたのがNFL王者決定戦『スーパーボウル』(NBC)。2012年大会は平均視聴者数1億1135万人と3年連続で新記録を樹立した。このほか9位に夏季五輪ロンドン大会の開会式(平均視聴者数4065万人)が、そして10位には米音楽界最高の栄誉とされるグラミー賞授賞式中継番組が3991万人に視聴者を得てランクインしたほかは、こちらもすべてNFL関連番組が独占した。非スポーツ番組としてはグラミー賞のみ。
また、2012年はHDD内蔵型のデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)を使ったテレビ番組の録画視聴がより盛んになった年だが、最もDVR視聴された番組は、AMCの『Breaking Bad(ブレーキング・バッド)をはじめ、トップ10番組中、9番組がケーブル局で占められた。地上波テレビ番組でDVR視聴トップ10にランクされたのはFoxのSF(サイファイ)番組『Fringe(フリンジ)』のみだった。
<テレビ朝日アメリカ 北清>