テレビ番組の再送信などを提供するCATV(ケーブルテレビ)や衛星放送事業者などペイテレビ・サービス加入者の半数以上がHDD内蔵型のデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)を利用していることがこのほど判明した。米調査会社ライクマン・リサーチ・グループによれば、DVR世帯は全体の52%と初めて5割を超えた。5年前に比べ13.5%増。また、2台以上のDVRを保有する世帯は全体の20%と、5年前の6%から急増している。
DVRが米市場に始めて登場したのが1999年。当初はティボ社とリプレイ社が付属機器として販売したが、その後、各ペイテレビ事業者が加入者に提供するセット・トップ・ボックス(STB)に内蔵するようになり、普及率が加速した。ちなみに、ティボ社の市場占有率は現在わずか2%。リプレイ社はもはやDVR製品を製造していない。
ペイテレビ別に見ると、最もDVR保有者の多いのが電話会社が提供するIPテレビ加入者で71%。これに衛星放送加入者の63%、CATV加入者は42%となっている。
ところで、「好きな番組を好きな時に視聴する」タイムシフト視聴を可能にするDVR視聴が昨年9月から始まった地上波4大ネットワークテレビ(ABC、CBS、Fox、NBC)の新シーズンでこれまでになく顕著になっていることが明らかになった。
広告主がターゲットにしている視聴者層(18-49歳)のDVR視聴習慣を見ると、今シーズン始まった新番組をDVRで見た人が5割。若者視聴者向けのミニ・ネットワークCWではその率が74%にも及ぶことが分かった。
リアルタイム視聴者数の15%をDVRに奪われたという見方も出ている。番組によっては放送後1週間にわたるDVR視聴者数がリアルタイム視聴数を30-40%も底上するものもあるようだ。
米テレビ広告局(TVB)の調べでは、頻繁にDVR視聴されるのがコメディー番組。番組全体の23.3%を占め、リアリティー番組の20.7%、ドラマ番組18.7%、アニメ番組15.0%を押さえトップにランクされている。
DVR視聴については、CMの飛ばし視聴が可能なことから広告主から大きな懸念が示されているが、米メディア企業NBCユニバーサル調査部門担当社長アラン・ウォーツェル氏によれば、DVR視聴者の40-45%がCM視聴をしており、飛ばし率は低下傾向にあるという。「CM飛ばし機能を使うのが面倒だと考える人」「CMを見るのが苦痛にならない」などと考える視聴者が意外に多いからだという。また、DVR視聴の43%が放送当日に行われている(TVB)というデータもある。
<テレビ朝日アメリカ 北清>