米アップル社のアイパッドに代表されるタブレット型多機能携帯端末(以下、タブレット)の2013年の世界出荷台数が初めてノート型パソコンのものを超えることになりそうだ。米調査会社NPDディスプレイサーチがこのほど発表したところによると、タブレットの出荷台数は前年比38%増となる2億4000万台。ノート型PCの2億700万台を3300万台上回ると予測している。アイパッド以外の機種の出荷台数が大幅に伸びる模様で、ひところのアイパッド人気に若干の陰りが出てきたともいえそうだ。
同社によれば、7-7.9インチ型のミニ・タブレットの出荷台数が1億800万台と全体の45%を占める勢いで、元祖アイパッドに代表される9.7インチ型の4100万台(全体の17%)に大きく水を開けることになるという。残りの38%は5.6インチの小型から13.3インチの大型まで様々なサイズのものが占める見込み。
世界のタブレット市場の中で最も大きな存在感を示すのが北米地域。世界市場の35%となる8500万台の出荷を見込んでいる。これに続くのが中国の6500万台(同27%)。北米と中国については12年にすでにタブレットがノート型PCを超えており、両地域のパソコン市場の変貌に大きな影響を与えるのは必至な状況だ。
ところで、タブレットの利用状況だが、米国では電子メールの送受信やウェブサイトの閲覧などに使われる例が多いが、テレビ番組や映画さらにはスポーツ・イベントの動画視聴にも頻繁に利用されることが明らかになっている。高画質で膝の上で番組視聴が出来る「パーソナルなテレビ」にも利用できるとあって、テレビ事業者の間では、ケーブルテレビ(CATV)や衛星放送事業者、いわゆるペイテレビ事業者と提携し、タブレット向けのアプリケーションを開発、テレビ番組のストリーミング配信をスタートさせた社が少なくない。
米調査会社オヤラ社が昨年暮れ発表した調査結果によれば、テレビ番組などを見る際に、「まず手にするのはタブレット」と答えた人が急増しているという。また、「タブレット利用時間の30%が1時間以上の動画コンテンツに費やされている」という結果も出ていて、タブレット長時間利用の目的が主に動画視聴に向けられていることも分かった。
こうした状況にテレビ事業者や広告業界が注目。視聴率調査などに当たるニールセン社はタブレットによるテレビ番組視聴状況の測定を新年早々に始める動きが出ている。