分割画面CM放送が拡大の兆し

米テレビ界でCM放送中に番組を挿入する新たな広告方法「スプリット・スクリーン(分割画面)・コマーシャル」を積極的に導入する動きが浮上している。番組をスポンサーしてくれる企業のCM枠は放送事業者にとっていわば聖域だが、広告主も同広告放送に際してはテレビ事業者と共同作業で当たっており、その広告効果などを詳しく分析している模様だ。

 

スプリット・スクリーンCMがはじめて米テレビにお目見えしたのは2000年。ケーブル局TBS(ターナー・ブロードキャスティング・システム)がストックカーレースを主催するNASCAR(ナスカー)競技の中継番組中に採用したのが最初のケースだとされている。その後も地上波テレビABCネットワークが06年にNASCAR競技番組中に放送するなど、同CMの採用は、基本的にはカーレース競技の中継番組に限定されていた。(ニュース専門局CNNが一部選挙特番中に採用した例がある)。

 

ところが、このほど米地上波テレビネットワークの一つFoxが人気の高い大学アメフト競技中継番組中にはじめてスプリット・スクリーンCMを導入。同ネットワークでは今季大リーグの中継番組でも採用する方針で、同CM方法がにわかにカーレース番組以外に拡大する動きとなっている。


Foxが大学アメフト番組中に挿入した分割CMは、画面の92%CMで、残りの8%の画面に試合の模様を流し続けるという構成だった。これまでは画面の80%CM、番組が20%という比率が主流で、番組部分が大きく縮まったのが特徴だ。同CM方法の調査にあたるインナースコープ社によれば、番組画面が小さくなっても視聴者の関心が薄まらないと同時に、広告主にとって画面下段にバナー状の企業メッセージなどを掲載できるメリットがあるという。

同社の調査では、画面いっぱいに放送する従来のコマーシャルに比べ、スプリット・スクリーン方式のほうが視聴者のCM内容に対する印象度が18%も高いことが分かった。分割型のCMが気に入ったと答えた人は全体の84%にも上ったという。

 

Fox関係者は今後もさらにリサーチを進め、同広告方法を改善していきたい考えだが、米自動車メーカーGMやファーストフード・チェーン店大手サブウェイ、保険会社オールステートなど大手広告主から引き合いがあるという。対象となる番組は一時も目が離せないスポーツ番組に絞られる模様。Foxでは同CM方法を「決して席を立たせたないCM放送」フォーマットと呼んでいる。

<テレビ朝日アメリカ 北清>