子供チャンネルなどの不調で大幅減収

米メディア企業大手バイアコムはこのほど20111012月期の決算を発表した。同期売上高は市場の予測を若干下回り、前年同期比16%33億㌦となった。純利益は前年の21200万㌦を大幅に上回る47000万㌦だった。バイアコム傘下には、「パラマウント映画」に代表される映画部門をはじめ、若者に人気のケーブル専門局「MTV」や「コメディーセントラル」、さらには米国はもとより世界市場でも人気の子供向けチャンネル「ニコロデオン」などからなる放送部門がある。

 

表面的には大幅増益になったが、前期は音楽ビデオ・ゲーム「Rock Band」のメーカー、ハーモニック社に対し著作権に関する損害賠償金37900万㌦を支払った経緯があり、調整後の純利益は同22%の減少になるという。


売上高の不調はひとえに同社の屋台骨である放送部門、特にニコロデオンの不振に負うところが大きい。同チャンネルの視聴率は2011年後半から顕著に下がり始めたが、同期もひところの勢いを欠く視聴率に留まったことから広告収入が大幅に減少した。

 

しかし、バイアコムの最高経営責任者(CEO)フィリップ・ダウマン氏は視聴率に改善の兆しが明確に出始めていることを強調し、同チャンネルのマイナス効果の打消しにやっきだ。投資家との電話会見では、すでに前例のない規模の番組開発費を投入し、既存番組依存型から脱却、新番組の積極編成が功を奏していることを訴えた。特に小学校入学前の児童を対象にしたアニメ番組やライブ・アクション・シリーズの編成を重視する構えで、こうした番組のファンとなった子供たちが十数年にわたり同チャンネルのファンであり続ける可能性を広告主にアピールした。


また大ヒット作となったリアリティー番組『マカロニ野郎のニュージャージ・ライフ(邦題)』が終了し、立て直しを求められているMTVも含め、今後は新番組を週全体に散りばめる新戦略に取り組んでいく方針だ。


不振とはいえ同社の稼ぎ頭である放送部門の同期売上高は前年同期比2.2%減、239400万㌦だった。


ニコロデオンとともに不振だったのがパラマウント映画。前年同期が生んだヒット作、『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』や『パラノーマル・アクティビティ3』などに匹敵する作品に恵まれなかったことや、公開した作品数が少なかったことも影響した模様だ。同部門の売上高は前年同期比37%減少となる97500万㌦。

<テレビ朝日アメリカ 北清>