ハリウッド映画界に日系CEO登場

米メディア・娯楽大手タイムワーナー傘下の映画・テレビ番組制作部門「ワーナー・ブラザース」(WB)の最高経営責任者(CEO)に日系のケビン・ツジハラ氏(48)(写真・右)が就任することになった。ワーナー・ブラザースは、過去18年間にわたりバリー・メイヤー会長兼CEO69)(写真・左)が率いてきたが、メイヤー氏が引退を表明。タイムワーナーのジェフリー・ビューケスCEOが約2年間にわたり後任探しに当たっていた。メイヤー氏は13年いっぱい会長に留まる予定。

 

WBはハリウッドの中でも最大かつ業界で最も安定した映画・テレビ番組の制作会社として位置付けられている。映画『ハリー・ポッター』や『バットマン』シリーズをはじめ、米テレビ界を代表する人気コメディー番組『Two and a Half Men』などの制作で知られる。

 

メイヤー氏の後任には、同氏の右腕で、テレビ制作部門『ワーナー・テレビジョン』の社長ブルース・ローゼンブラム氏あるいは映画部門の社長ジェフリー・ロビノフ氏が有力視されていただけに、ツジハラ氏の抜擢にはハリウッド中が騒然とした模様だ。特に後任候補の最右翼とされてきたローゼンブラム氏は、相当なショックを受けた様子。ニューヨークタイムズ紙に「(決定に)失望している。私の立場にいれば誰もがっかりするだろう」と述べ、落胆ぶりを隠そうとしない。ハリウッドではツジハラ氏が選ばれたことでローゼンブラム・ロビノフ両者がWBを辞めるのではないかとの憶測が飛び交っているという。


ツジハラ氏の任命については、「米市民の間で人気急上昇中の映画やテレビ番組のインターネット配信が与える既存ビジネスモデルへの影響にタイムワーナーが正面から取り組む決意の表れだ」(米経済紙ウォールストリート・ジャーナル)との見方が支配的だ。

 

ツジハラ氏は現在、ビデオゲームや映画やテレビ番組のデジタル(インターネット)配信などを担当するWBホーム・エンターテイメント部門の責任者。コンテンツの著作権や違法ダウンロード問題などにも明るいという。

 

ビューケスCEOは、ローゼンブラム・ロビノフ両氏に慰留のシグナルを送りながら、ツジハラ氏の起用について、「ケビンはタイムワーナー内で様々な経験を積んでいる」と述べ制作部門における経験不足を打消したうえ、「組織をまとめ率いていくうえで必要な性格の持ち主でもある」と称賛した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>