米人気アンカーの去就に話題集中

米テレビ界で今一番ホットな話題の主といえば、米地上波テレビNBCネットワークが毎朝放送する情報番組「Today」のアンカー(メインキャスター)、マット・ラワー氏(写真・左)だ。Todayショーは1995年以来16年間にわたり不滅のナンバーワン番組として米テレビ界に君臨してきた帯番組。年間CM収入約5億㌦を稼ぎ出すNBCネットワークのドル箱番組だ。ところが、同番組人気を支えてきたラワー氏が更迭されるのではないかとのウワサが飛び交い、業界誌やタブロイド紙はもとより、ニューヨーク・タイムズ紙など有力紙などが一斉に取り上げた。後任にCNNの看板キャスター、アンダーソン・クーパー氏などの名前が浮上している。同ネットワークはウワサを否定している。

ラワー氏の去就が注目されるようになったきっかけは同番組の視聴率問題。昨年4月、ライバルABCネットワークの「Good Morning America (GMA)」に、世帯視聴率で追い抜かれてしまったことに発している。報道・情報番組で広告主が重視する視聴者層(2554歳)ではかろうじて首位の座を死守したものの、2冠王を逃したとあって米テレビ業界の話題が集中した。そして、それに追い打ちをかけるかのごとくラワー氏に不利に働いた出来事があった。

 

番組の女房役で、共同アンカーに抜擢されたばかりのアン・カリーさんが視聴率低下の責任を取らされる形で降板したのだが、ラワー氏が背後でネットワーク経営者らにカリーさん更迭の圧力をかけたというウワサがタブロイド紙などに流れた。そして、カリーさんが最後の出演で悔し涙を流した際に、予期せぬハプニングにびっくりしたラワー氏の様子が、“冷たい態度をとった”と映り、視聴者からラワー氏に対する批判が一斉に噴出した。路上でファンから、「あんたはいじわるい人。金輪際あなたの番組は見ない」などと罵声を浴びせられるシーンが目撃される頃になると視聴率は一挙に急降下。7月後半、とうとう二冠王の座をGMAに奪われてしまった。


すでに視聴率低下が5000万㌦の広告収入減収を招いたとする声も上がる中、NBC関係者は、「このまま視聴率が下がり続ければ取り返しのつかないことになる」と危機感を抱いているのが現状だ。

安定感溢れる話術と巧みなインタビューで米TV界において右に出るものはいないと評されるラワー氏は昨年、2年間の新契約を結んだばかり。推定年俸は報道・情報番組出演者中断トツとなる2500万㌦。

<テレビ朝日アメリカ 北清>