米放送事業者協会(NAB)が主催する世界最大規模の放送機器展「NAB2013」の展示会が4月8日から4日間の日程で米ネバダ州ラスベガスで開催された。テレビ受像機のカテゴリーでは、現在主流のフルハイビジョン・テレビの4倍の画素数を表示することができる新型テレビなどがスポットライトを浴びた。そんな中、わずか3年前に同展示会で話題を独占した3D(立体)テレビがすっかり影が薄い存在になっている。 NAB2010以降、3Dテレビブームに乗り遅れまいと、スポーツ専門局最大手ESPNやCATV(ケーブルテレビ)最大手コムキャスト、さらにはソニーがドキュメンタリ専門局「ディスカバリー・チャンネル」と提携しそれぞれ3Dチャンネルを創設したが、立ち消え状態。「ブレークしない理由は、コンテンツ不足にある」と、五輪や全米最大のテレビイベント「スーパーボウル」などの3D放送が試みられたが、米視聴者からはほとんど関心が寄せられていない。
放送機器専門誌TVテクノロジーの編集長はコラムの中で、「こんなに早く燃え尽きてしまった新製品は3Dテレビ以外にあるだろうか」と述べ、3Dテレビが瀕死の状態であることを示唆している。
米調査会社HISアイサプライがこのほど発表した米国テレビ市場見通しによれば、13年のテレビ受像機出荷台数は前年比2.7%減となる3660万台。12年に続いて2年連続マイナスとなる見込みだ。テレビメーカー各社にとってヒット製品が待ち望まれるところだが、高価格やコンテンツ不足が指摘される4Kテレビはさておいて、米国で当面売れそうなのがインターネット接続機内蔵型のスマートテレビだ。
米国ではネットフリックスやフールーなど、インターネットを介してテレビ番組や映画などの人気コンテンツを配信するサービスが人気で、従来ならパソコンなどで視聴していた視聴者が手軽にテレビに取り込むことができるスマートテレビなどを利用し始めたからだ。
米調査会社SNLケーガンによれば、12年におけるインターネットテレビ保有世帯は全テレビ世帯の三分の一に当たる3920万軒。13年末までに5270万軒に急増する見込みだ。さらに、15年中にはテレビ世帯の半数以上に普及し、19年中には75%のテレビ世帯でインターネットテレビが備わるという。SNLケーガンではネット接続器を内蔵したスマートテレビとネットに接続できるブルーレイにつなげたテレビをインターネットテレビと捉えている。