拘束時に4200万人の視聴者

415日にボストン・マラソンを襲った爆弾テロには全米の関心が寄せられたが、事件発生後4日目となる19日夜、ボストン郊外に潜んでいた容疑者(弟)の拘束時に4200万人がブラウン管にくぎ付けになったことが明らかになった。(もう一人の容疑者(兄)は同日未明、警察との銃撃戦で死亡した。)


米ニールセンの速報によると、地上波テレビネットワーク3社(ABCCBSNBC)に加え、ニュース専門局3社(Foxニュース・チャンネル、CNNMSNBC)計6社が午後8時台に放送した特別番組はNFL(米プロフットボール・リーグ)王者決定戦スーパーボウルを除き、今年最大の視聴者数を記録した。

 

プライムタイム(午後811時)の各社視聴者数を見ると、NBC893万人でトップ。これにABC720万人、CBS674万人と続き、ベスト3は地上波テレビネットワークが独占した。ニュース専門チャンネルのほうは、Foxニュース・チャンネル(FNC)の597万人、CNN537万人、MSNBC172万人の順だった。拘束があった8時台は各社ピークに達し、NBC1070万人の視聴者数で断トツ。これに、ABC780万人、FNC760万人などと続いた。

 

ケーブル局では相変わらずFNCが視聴率首位の座を守ったが、ここのところ不振だったCNNが大健闘した。同週の全日平均視聴者数は140万人と前週比300%増を記録、「突発事件・事故報道に強いCNN」の面目躍如となった。


ただ、高視聴率とは裏腹にCNNは重大な誤報で大失態を演じてしまった。事件後2日目にあたる17日、同社のジョン・キング記者が独自情報源から得た特ダネとして「容疑者が逮捕された」と大々的に報じてしまったのだ。同様な報道は、FNCAP通信などからもあったが、「CNNには常に正しい報道をしてほしい」(NYタイムズ紙)など、業界内からは失望の声が噴出している。

 

CNNはここ数年の視聴率低迷に、米メディア界の大物を新社長に迎え、起死回生の策を講じている最中だ。ネットワークテレビから次々にキャスターを引き抜き新番組を編成し始めているが、同社がモットーにしている「最も信頼されているニュース局」を忘れてしまったのではないかなどと新路線に懸念の声も聞こえる。

 

ツイッターなどソーシャルメディアの普及で未確認情報が氾濫する中、24時間ニュースを伝えなくてはならないニュース専門局は難しいかじ取りを強いられているが、一連の報道ぶりを見ていて、ネットワークテレビの安定した報道ぶりが印象的だった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>