インテルが番組配信事業に参入か

世界最大の半導体メーカー、米インテル社がペイテレビと呼ばれるテレビ番組配信サービスを計画している。新サービスはインテルが独自に開発するセット・トップ・ボックス(STB)をブロードバンド通信に接続し利用する一般家庭向けの番組配信サービスで、CATV(ケーブルテレビ)や衛星放送、さらには電話会社が展開するIPテレビなどと同様加入型の有料サービスになるという。経済・金融情報サービス「ブルームバーグ」によれば、すでに米メディア企業大手タイムワーナー、NBCユニバーサル、バイアコムなどと番組配信契約に関する料金交渉が進展を見せているという。ウォルト・ディズニー社、ニューズ・コーポレーション、CBSコーポレーションなどともまもなく本格的な交渉が始まるようだ。


インテルは、各社との交渉の中で、番組のリアルタイム配信に加え、番組に映画を加えたオンデマンド・サービス、さらには加入者がネット上に留守録ができるクラウド型DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)サービスの権利を獲得したい意向だという。加入者は、テレビばかりでなく、パソコンやモバイル・ギア(スマートフォンやタブレット型情報端末)などでも番組視聴が可能になる模様だ。インテルでは加入者が見たいチャンネルをコンパクトに組み込むことができる柔軟なサービスを提供するという情報もある。

 

米国ではテレビ世帯の9割が何等かのペイテレビに加入しテレビを見ているのが現状。既存のペイテレビサービスは数百チャンネルにも上る多チャンネルを束ねて提供するサービスが一般的で、加入者からは、「見たくもないチャンネルのせいで高額加入料を払わされている」などと、不満の声が後を絶たない。こうしたことからインテルの新事業が実現すればペイテレビ事業各社にとって脅威になる可能性もある。


一方、さらなる放送外収入を目指す米メディア企業は、番組やチャンネルの新しい受け皿ができるとあって大歓迎というところだが、「新参者のインテルは高額な配信料を支払うことになるだろう」(RBCキャピタルのアナリスト、ディビッド・バンク氏)との見方も出ている。

インテルがメディア・ビジネスを手掛けるのは初めて。チップ製造・販売依存型の事業からの脱却を狙った戦略の一環とみられる。新サービスの具体的な内容は公表されていなが、13年中の立ち上げを目標にしている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>