米メディア企業1Q、配信料増収が寄与

米メディア企業大手、コムキャスト、タイムワーナー、バイコム、CBSコーポレーションの4社はこのほど、201313月期決算を一斉に発表した。各社共通していえることは、軒並み不振だった傘下の映画部門を好調のケーブル局が補完した形になっていることだ。ケーブル局については、各チャンネルを送信するペイテレビ事業者(CATV、衛星放送、電話会社)から徴収する配信料の一連の値上げが増収につながり、グループ全体に大きく貢献していることが特筆される。また、その配信料が、減少傾向にある広告収入にかわって重要な収入源になり始めていることが鮮明だ。

NBCユニバーサルを買収し最大メディア企業に生まれ変わったコムキャストの決算を見ると、CATV部門は、同期の映像配信サービス加入者が前年同期比1.6%減少したものの、ブロードバンド通信サービス加入者が同6.5%増、電話サービスが同6.9%増となったため、部門全体の売上高は6.4%増となる102億㌦だった。放送部門はスーパーボウル中継があった前年同期に比べ、今季は特別イベントがなかったうえ、地上波テレビNBCネットワークが視聴率低迷で、今季の売上高は同2.4%減となる534000万㌦だった。

 

コムキャスト全体の売上高は2.9%増となる153億㌦。純利益は同17.4%144000万㌦だった。

タイムワーナーを見ると、傘下の映画部門(ワーナー・ブラザース)や出版部門(タイム・インク)の業績が芳しくなかったが、売上高は前年同期比0.6%減に留まる694000万㌦。純利益はケーブル局を中心とした放送部門が健闘し、同24%増となる72000万㌦となった。放送部門はCNNが相変わらず不調だったが、TNTをはじめとする総合編成チャンネルの視聴率が好調でペイテレビからの配信料収入が増えたことや有料チャンネルHBOの加入者数が増えたことが大きく寄与した。

 

バイコムは、ここのところ不振続きだった看板ケーブル局「ニコロデオン」(子供向け専門局)が復調の兆しを見せていることやMTVやコメディー・セントラルなど他人気ケーブル局が健在だったが、パラマウント映画の業績が悪く全体の足を引っ張り、売上高同6%31億㌦、純利益は18%47800万㌦と減収減益だった。

 

CBSコーポレーションは同期に放送されたスーパーボウルのおかげで広告収入が前年同期比8%増となったほか、直営局の配信料収入が大きく貢献し、売上高は06年ぶりに40億㌦を突破。純利益は同17.5%46300万㌦だった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>