ネットフリックはケーブル局を上回ったか

インターネット経由の動画配信サービス、「Netflix(ネットフリックス)」の最高経営責任者(CEO)リード・ヘイスティングス氏はこのほど、1313月期に同社が配信したコンテンツの視聴時間が40億時間を超えたと発表した。米調査会社「BTIGリサーチ」のアナリスト、リチャード・グリーンフィールド氏によればネットフリックス加入世帯の1日当たりの平均視聴時間は87分に達した。グリーンフィールド氏は、「(ネットフリックスが)米国で最も人気のあるケーブル局の代表格ディズニー・チャンネルに匹敵する存在になった」と分析している。

同氏は、126月の段階で、1日の平均視聴時間を79分と推定。テレビネットワーク中、7番目に人気のあるサービスと位置付けていた。ネットフリックの株価はこれらの発表を受けて発表当日4.2%も上昇。同社の株価は半年間で3倍増と人気沸騰中だ。

 

「米市民の1日当たりのテレビ視聴時間は5時間以上。ネットフリック利用時間は微々たるもの」などと冷ややかな声も上がっているが、ケーブル局にとって静観できない存在になっていることは間違いない。

 

ネットフリックスは97年、郵送DVDレンタル会社としてスタート。当初、DVD1タイトルにつき4㌦のレンタル料金と2㌦の郵送料(往復)、計6㌦という価格で始めたが、店頭に行く手間が省けるということで注目を集めた。その後99年に月定額制を導入すると瞬く間に人気沸騰。その後071月にスタートさせた動画配信がきっかけとなり破竹の勢いで成長した。現在では動画配信サービスが主流となり、加入者総数は2810万人に達している(BTIG推定)。

 

オンデマンド形式で配信するコンテンツはネットワークテレビなどが放送したプライムタイム番組や人気映画などが主流だが、高額な制作費を投入しオリジナル番組の制作にも積極的に取り組むようになっている。132月に、英BBCテレビのヒット作「ハウス・オブ・カード」のリメーク版をハリウッドの人気スター、ケヴィン・スペイシーを主役に起用し制作。13エピソードを一挙に公開する新しい試みで、米メディア業界をあっと言わせた。ネットフリックは視聴数などを一切公表しないが、今回の記録に大きく貢献したことは間違いない。

 

ネットフリックは、米国をはじめ、英国やカナダなどでサービスを展開しているが、利用者の88%が米国に集中している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>