番組の好き嫌いを“音”で意思表示

視聴者が番組に対する反応と評価を簡単な音で表すことができるアプリケーションが登場した。米ABCネットワークの報道部門「ABCニュース」が開発したもので、「Social Soundtracker(ソーシャル・サウンドトラッカー)」(以下、サウンドトラッカー)と名付けられた。携帯端末用のアプリは当面、iOSオペレーティング・システムを使用するアイフォンやアイパッドに限られるが、パソコンでの利用も可能。テレビを見ながら、あるいはインターネット配信される生番組(ライブ・ストリーミング番組)などを見ながら利用することができる。同アプリはフェイスブックとリンクする。

 

利用者は番組を見ながら、5つのボタンの中から、笑いやブーイングを選び、好き嫌いの意思表示を音で示すことができる。フェイスブックに登録してある友人などが同様なリアクションを示せばただちに確認することができる。例えば、オバマ大統領の演説中のジョークを自分とともに面白いと思った人が多数いれば、笑い声が返ってくる仕掛け。映画館で他の観客と一緒に喜怒哀楽を共有するような環境を自宅などで居ながらにして体験できるという。

 

ABCニュースで新製品開発を担当するマヤ・バラッツ氏によれば、放送事業者や番組制作者は、サウンドトラッカーにより、番組に対する“より実態に近い”かつ“感覚的な”視聴者の反応を知ることができる。他のソーシャル・メディアに比べ視聴者のフィードバックがリアルタイムでうかがえるのがメリットだ。


また、視聴者にとっても、ツイッターなどは、他ユーザーを意識しながら文章を考えなけえばならないわずらわしさがあるが、サウンドトラッカーの場合は、(番組に対する評価を)選ぶだけという簡略性がより多くのユーザーにとって魅力的かもしれない。

 

サウンドトラッカーは428日、ワシントンで開催されたホワイトハウス記者会の晩さん会の中継番組でデビュー。今後は同ネットワークの朝の情報番組『グッドモーニング・アメリカ(GMA)』や大統領の演説時などに採用したい考えだ。ABCニュースのベン・シャーウッド社長は、将来的にはエンターテイメント番組やスポーツ番組などにも同サービスを取り入れたいとしている。サウンドトラッカーは特許取得済みだが、シャーウッド社長は、「ライバルのネットワークや広告主などに、同テクノロジーの使用権を貸与したい」と、普及に意欲的だ。

<テレビ朝日アメリカ 北清>