ニュース専門局CNNを含む数々の人気ケーブル局や映画会社「ワーナー・ブラザース」などを傘下に置く米娯楽・メディア企業大手タイムワーナー(TW)はこのほど2015年1-3月期の決算を発表した。視聴率が好調だったケーブル局やヒット作に恵まれた映画部門、さらには有料チャンネルHBOの加入者が増えたことなどが貢献し、売上高は昨年同期比4.8%増となる71億3000万㌦と、市場予測を上回る結果となった。
一方、純利益は新作映画や今年4月上旬に立ち上げた有料チャンネルHBOのインターネット版「HBO Now」の宣伝広告費、さらには番組制作費がかさんだことなどから前年同期比25.9%減9億7000万㌦と減益となった。TWの最高経営責任者(CEO)ジェフ・ビューケス氏は、調整後の営業利益は12%増18億㌦で四半期ベース記録になったことを指摘し、「新年の力強いスタートとなった」と胸を張った。
スリム化を図ったTWは現在、ケーブル局群を傘下に置く「ターナー」、映画・テレビ番組制作部門「ワーナー・ブラザース(WB)」、有料チャンネル「HBO」の3部門からなるが、稼ぎ頭となったのがWB。日本でも封切られ世界的な大ヒット作となった戦争映画『アメリカン・スナイパー』やWBが制作し大ヒット作となったコメディー番組『フレンズ』のデジタル配信大手ネットフリックスへの番組再販などが功を奏し、同部門の売上高は前年同期比4%増の32億㌦となった。
ターナー部門を見ると、なんといっても光ったのが同部門傘下のケーブル局TBS、TNT、truTVを駆使して放送した人気大学バスケットボール・トーナメント「マーチ・マッドネス」。平均視聴率は22年ぶりの高視聴率を獲得し、広告収入を引き寄せた。また、マーチ・マッドネス以外にも若者向けチャンネル「アダルト・スイム」の視聴率が好調だったことなども手伝って、同門の売上高は4.5%増となる27億㌦に達した。
HBOの売上高は前年同期比4%の増加となる14億㌦。HBOの米国内加入者数が大幅に増えたことや海外市場での番組販売が活況だった。同局が放送したドキュメンタリー番組「ザ・ジンクス」が全米で注目されるなど、話題も振りまいた。
なお、新サービス「HBO Now」の加入状況については時期尚早として言及は避けたが、同サービスはブロードバンドのみに加入している層が対象であり、CATVや衛星放送など既存の映像配信サービスを介して配信しているHBO本体への影響はないと強調した。