米プロバスケ決勝ラウンドが高視聴率

米プロバスケットボール協会(NBA)の王者を決める決勝ラウンド(7回戦制)の最終戦が620日、フロリダ州マイアミで開催され、昨シーズンの覇者で東カンファレンス代表のヒートが西カンファレンスのスパーズを破り、2季連続3度目の優勝を決めた。ファイナルの模様は米地上波テレビABCネットワークが全国向けに生中継し高視聴率を獲得した。試合が7回戦までもつれ込んだことと、NBAを代表するスーパースター、レブロン・ジェームズ選手(写真・右)をかかえるヒートが2季連続連覇をかけ決勝進出したことで大きな関心が寄せられた模様だ。

ニールセン社の速報によれば7試合の平均視聴者数は1770万人。最終戦の視聴者数は2010年以来最高となる2630万人を記録した。今年2月に同じくABCが中継したアカデミー賞授賞式(平均視聴者数約4000万人)以来の好記録となりABCネットワークに朗報をもたらした。


ただ、ABCは好結果に喜んでばかりはいられないようだ。ABCは姉妹局であるスポーツ専門局ESPNに加えタイムワーナー傘下のケーブル局TNTとともにNBA に対し201516年シーズンまで、年間93000万㌦の放映権を払っている。しかしNBAが契約切れを待たずに今夏新契約交渉を開始し、14年末までには結論を出したいとの意向を示したため、戦々恐々となっている。

プロバスケ以外のビッグ・スポーツ・リーグは最近、すべて新しい放映権交渉を完了。唯一残ったNBAが高視聴率を楯に値上げを求めてくるのは必至の情勢だ。米スポーツテレビ界の雄ESPNに対抗し、メディア王マードック氏率いるニューズ・コーポレーションが8月に開設を予定しているスポーツ局「Fox Sports 1」のほか、てこ入れを図っているコムキャスト傘下のスポーツ専門チャンネル「NBC Sports Network」などがNBA放映権を狙っているとされ、NBAにとって売り手市場。新契約料金は一挙に現行の50%から100%増になるとの観測も出ている。


ところで、米国におけるバスケファン層に顕著な変化が出ていることがニールセンの調査で浮き彫りになった。03年のファイナルでは視聴者の63%が白人層で占められていたが、今年のファイナルでは52%に後退。逆に黒人層は同27%から34%に増えているほか、スペイン語を母国語とするヒスパニック系が31%も増えていることが特筆される。同グループはファン全体の16%を占めるまでに急増、ニールセンは「ここ10年間でNBAファン層が多様化している」と分析している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>