モバイル番組視聴の大半が家庭内で

スマートフォンやタブレット型情報端末などいわゆるモバイル・ディバイスを使ったテレビ番組視聴の多くが、実は外出先ではなく家庭内で行われていることが明らかになった。米ニールセン社傘下のビデオ視聴状況調査機関「Council For Research ExcellenceCRE)」がこのほど発表したもので、タブレットを使ったテレビ番組視聴の82%が、スマホの場合は64%が家庭内で利用されているという。

また、モバイル・ディバイスを利用する理由について、消費者のほぼ半数(49%)が「便利だから」と答え、一部業界で危惧されていた「CM嫌い」が理由でないことも分かった。モバイル・ディバイス向けに配信されるテレビ番組は放送版に比べ、CMチャンスが極端に少ないが、「モバイル版を見るのはCMが少ないから」と答えた人はわずか5%だった。その他、「自分の見たいエピソードを選べるから」が13%だった。

 

モバイル・ディバイスを使った番組視聴の中身を見ると、ドラマ番組を見ると答えた人がタブレット・ユーザーの31%、スマホの27%でトップにランクされた。次に人気のあったのがコメディー番組。タブレットが20%、スマホが24%だった。一方、ニュース番組をモバイルで視聴すると答え人は、タブレット11%、スマホ15%と低く、ニュースはテレビ(受像機)で見る人が多いことが浮き彫りになった。

さらに、モバイル視聴者はテレビ視聴者に比べ番組への集中度が高いことも分かった。

 

テレビ視聴者に比べモバイルを使った番組視聴者はまだまだマイノリティーとされているが、ニールセンの調べでは4100万人の米消費者がモバイルで番組を見るまでに至っており、「テレビ視聴に少なからぬインパクトを与え始めていることは間違いない」と、放送事業者に喚起を促している。

 

ところで、モバイル視聴者が見る番組のほとんどが、テレビ局以外の番組配信サービスが提供しているものであることも明らかになった。具体的には有料サイトであるネットフリックとフールー・プラスの2社が圧倒的人気を博している。スマホ利用者の64%が、タブレット・ユーザーの54%がこれらのサービスを使っていて、テレビ局などがホームページ上に提供している番組配信サイトを利用している人はわずか26%にとどまっている。テレビ局によるモバイル・ディバイス向けの番組視聴アプリが不足していほか、アプリがペイテレビ加入者に限定されていることなどが普及を妨げている模様。

<テレビ朝日アメリカ 北清>