動画配信サイト番組がエミー賞候補に

インターネット上の動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」が独自制作した政治サスペンスドラマ『ハウス・オブ・カード』が米テレビ界最高の栄誉とされるエミー賞候補に選ばれた。エミー賞の中でも最もプレステージな賞とされるドラマ部門をはじめ、主演男優、主演女優、監督賞をふくむ9部門にノミネートされる快挙を成し遂げた。地上波テレビやケーブル局ではなく、インターネットで配信される番組がエミー賞の主なカテゴリーにノミネートされたのは初めてのことだ。

 

AP通信は、「エミー賞候補になったことで、ネットフリックスの番組が、テレビで放送される番組に匹敵する質の高い内容のものとして認められたことになる」、と高い評価を下している。ネットフリックスのコンテンツ担当最高責任者、テッド・サランドス氏は、「一つのカテゴリーでも候補に選ばれれば御の字だと思っていたが、我々の予想をはるかに超える勝利だ。インターネット・テレビの勝利だ」と喜びを語っている。

ネットフリックスは、ハウス・オブ・カードの2シーズン分の制作費として1億㌦を投入したとされ、主役にはハリウッド俳優のトップクラス、ケヴィン・スペイシー(写真・左)が採用されたほか、監督は『ドラゴン・タトゥーの女』など数々のヒット作を手掛けたデイビッド・フィンチャー監督が起用された。1シーズン13話の構成だが、ネットフリックスは13話すべてを一挙に同日公開するなどの手法をとり話題を呼んだ。

ハウス・オブ・カードは、昨年のエミー賞に輝いた有料チャンネルShowtimeが放つスリラー番組『Homeland(ホームランド)』や同じく有料チャンネルHBOの 『Game of Throne』などを相手にエミー賞を競うことになる。

 

なお、ネットフリックは『ハウス・オブ・カード』のほかに、『Arrested Development(アレステッド・ディベロプメント)』がコメディー・シリーズ部門の男優賞候補など3部門で、また、ホラー・ドラマ『Hemlock Grove (ヘムロック・グローブ)』が2部門にノミネートされた。

 

一方、エミー賞最多候補数を獲得したのがタイムワーナー傘下の「HBO」。昨年の候補数81を超える108の部門でノミネートされた。2位につけた地上波テレビNBCネットワークとCBSネットワークが獲得した53部門、ABC45部門に大きく差をつける快挙となった。

 

エミー賞の発表と受賞式は922日ロサンゼルスで開催され、CBSが特別番組を編成し生中継する。

<テレビ朝日アメリカ 北清>