アマゾン創業者がWポスト紙買収

インターネット通販最大手アマゾン・ドット・コム創業者ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO(49)(写真・下)による米有力紙ワシントン・ポストの買収発表を受け、米メディア界では様々な憶測を呼んでいる。発表は一様に驚きと懐疑心をもって迎えられたが、時間が立つにつれ好意的な見方が増えている。

 

発表直後は、「億万長者にとって新聞社所有が最後の戦利品らしい」「有力紙を手中に収め政治に影響力を及ぼそうとしているのでは」「今年16月期だけでも5000万㌦の損失を出している新聞に25000万㌦も払うなんて真意がわからない」などと首をかしげる向きが多かった。

しかし、時間が経つにつれ、「ベゾス氏は早期に結果を出すことを求めるウォール街の圧力に屈しない長期的な展望に立てるCEOであることはアマゾン経営を見れば明らか。ワシントン・ポストに対してもじっくり腰を据えて改革していくだろう」「電子版の拡充が急がれるワシントン・ポスト紙にとってベゾス氏の資金力が大きな活力になることは間違いない」「同紙の変革には時間がかかるが、忍耐強いとの評判があるベゾス氏が個人オーナーとして登場したことは幸運なことだ」などと、好意的な見方が出ている。

そして、ベゾス氏の登場で誰もが同紙が“紙”から“インターネット”へ大きく軸足を移していくこと予測している。ベゾス氏がネット上で商品を売るノウハウを持っていることや、同氏が誇るデータ分析力をフルに稼働し、新聞にとって大きな課題となっている若者読者層獲得に取り込むだろう、と期待する向きもある。同氏率いるアマゾンが電子書籍端末「キンドル」を大成功させた点に注目する向きもあるようだ。

 

ベゾス氏は買収発表に際し、ワシントン・ポスト社員に向けメッセージを送り、新しいことを考案すること、に新しいことを試してい行くことの重要性を強調したことが伝えられている。そして、ベゾス氏は近い将来同紙に必ず“変化”が訪れることを約束した模様だ。

 

インターネット上の不動産サイト「Redfin」の創設者グレン・ケルマン氏は、一方の有力紙ニューヨーク・タイムズ紙に対し、「これまではシリコンバレー(IT産業の一大拠点)の企業がプラットフォームの開発を担い、コンテンツ供給者は別にいたが、今は双方の役割の違いが不鮮明になってきている。今回の買収劇はそれを物語るものだ」と述べている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>