TWCブラックアウト、長期化か

ニューヨーク・マンハッタン地区に住むタイムワーナー・ケーブル(TWC)加入者の家庭で82日午後5時、地上波テレビCBSネットワークの直営局「WCBSテレビ」のチャンネルが突然ブラックアウト状態になった。TWCCBSの再送信契約更改交渉が物別れに終わったことを受けて、TWCWCBSテレビの再送信を止めてしまったためだ。TWCは、WCBSテレビばかりか人気有料チャンネル「Showtime」など、CBS傘下のケーブル局配信も中止している。

 

ブラックアウトは2週間以上も経過した14日現在も続いており、マンハッタンばかりでなく、TWCがサービスを提供するロサンゼルスやダラスなど300万軒以上の家庭でCBSの番組が見られない状態になっている。CBS視聴率に若干悪影響が出始めている模様だ。

1世帯当たりの再送信料を現行の1㌦弱から一挙に倍以上となる2㌦強を要求しているとされるCBSは、「TWCは視聴者数がCBSより少ないケーブル局に高い配信料を払っている。視聴率ナンバーワンのCBSに応分の新料金を求めているだけだ」などと主張。

これに対し、「値上げは営業費用では賄えず、加入料につながり受け入れられない」と反発するTWCとの間の溝は深く、ブラックアウトが長期化するとの見方も出てきた。

 

ローカル局にとってCATVや衛星放送など、米生活者の9割が加入するペイテレビ・サービス事業者から徴取する再送信料は、下降線をたどる広告収入を補完する重要な放送外収入になりつつある。16年までに広告収入の2割までに達するという見方もあるほどで、再送信料値上げを求めるメディア企業が続出しているのが現状だ。

一方、ペイテレビ側が直面する悩みは、年々値上げを続ける加入料を嫌った同サービスからの離反傾向。放送事業者からの値上げ要求を簡単には飲めない事情がある。

 

ところで、視聴者から殺到している苦情を受けて、ニューヨーク市議会が急きょ関係者を集め公聴会を開いた。会場では市民から、「メディア大企業が金儲けのために醜い戦いをしているが、我々が交渉の道具に使われていることに我慢がならない」などと不満が噴出した。TWCCBS関係者も出席したが非難の応酬合戦になったようで、会場には悲観的なムードが溢れていたという。

 

先行き不透明感に、消費者の間では屋内外アンテナを設置し直接受信に切り替えるなど対応策を講じる動きも出てきた。アンテナの売れ行きが急増しているとの報告も出ている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>