CBS傘下の番組配信を再開

全米第2位のケーブルテレビ(CATV)事業者タイムワーナー・ケーブル(TWC)の加入者が米メディア大手CBSコーポレーション傘下の地上波テレビ局やケーブル局を見られなかった“ブラックアウト”状態が92日、解消された。ブラックアウトは、両社間の再送信契約更改交渉が物別れに終わったことを受けてTWC側がとった措置。ニューヨーク・マンハッタン地区、ロサンゼルス、ダラスなど全米300万世帯以上でCBSネットワークや同社姉妹局の人気有料チャンネル「ショータイム」などが1か月にわたりシャットアウトされる異常事態が続いていた。

交渉では大幅な料金値上げを要求したCBSに対し徹底抗戦の構えだったTWCが、最終的にCBSに押し切られる形となった。TWCサイドは、「CBSの要求を飲めば、加入料の値上げにつながる」などと視聴者に訴えたが、加入者は、ひいきにしている番組が見られなくなったことへの不満と批判の矛先をほぼ一方的にTWCに向けたようだ。CBSは視聴率ナンバーワンを誇るCBSネットワークなどを擁する優良コンテンツ(番組)プロバイダー。「いくら法外な要求といえども、いいコンテンツを持ったものが(再送信)交渉の勝者になることが改めて証明された」(米メディア専門家)。 

また、米テレビ界で断トツの人気を誇るNFL(米プロフットボール・リーグ)の新シーズンが開幕間際で、CBSが放映権を持つ試合が目前に控えていることもTWCにとって大きなプレッシャーとなったようだ。アメフトが見られないとなれば、加入者が他CATVや衛星放送などに鞍替えしてしまうなどの危機感もあったに違いない。

 

合意内容の詳細は公表されていないが、CBS側はTWCに対し現行の倍以上の料金となる一世帯当たり2㌦の再送信料を獲得したとの情報もある。

 

また、今回の交渉で浮き彫りになったのが、番組のオンライン配給権の重要性だ。米国ではインターネット上の番組配信サービスが人気急上昇中で、インテルやソニーなども同様なネット配信サービスを計画中。これらの新サービスに対する番組配給権を留保したいCBSと、これを阻止しようとしたTWCがお互いに譲らないまま交渉が暗礁に乗り上げていたという。最終的にはTWCに「ショータイム」のデジタル配信権を与えるかわりにCBSがほぼ全面勝利した。CBSの最高経営責任者(CEO)レスリー・ムンベス氏は声明の中で、「我々はCBSの番組に公正な補償を受け取ることになる」と胸を張った。

<テレビ朝日アメリカ 北清>