ネットCMがテレビCMに追いつく!?

「米国で人気急上昇中のインターネット配信番組に挿入されるコマーシャル(CM)料金が向う35年間で地上波テレビ放送で放送されるCM料金と同等なものになる」。こう予言したのは、米地上波テレビ放送で昨シーズン視聴率ナンバーワンの座を獲得したCBSネットワークなどを傘下におくCBSコーポレーションの最高経営責任者(CEO)レスリー・ムンベス氏。このほどビジネスニュース専門局CNBCテレビに出演した際に述べたもので、ムンベス氏は、「ネット配信番組のCM料金がテレビCMに追いついた暁には放送事業者は視聴者がどのプラットフォームで番組を見ようが気にしなくなる」と補足した。ムンベス氏の発言は、米国内でインターネット上のテレビ番組視聴が今後急速に拡大することを示唆したもの。

同時に同氏は、「我々はコンテンツ(番組)をどのように扱うか固有の権利を有しており、今後いかなるプラットフォームも問わず配信していくことになる」と強調、番組のマルチスクリーン配信に意欲を示した。同社が大手ケーブルテレビ(CATV)事業者タイムワーナー・ケーブル(TWC)を相手に行った番組再送信料金をめぐる交渉が暗礁に乗り上げTWCの加入者が1ヵ月にわたりCBSの番組が見られなかったブラックアウトを経験したことはまだ記憶に新しいが、実はこの交渉のネックになったのが番組のネット配信権、いわゆる“デジタル配信権”をめぐるものだった。番組配信料の値上げを飲むかわりに自社独自の番組ネット配信権を求めるTWCに対し、絶対に権利は渡せないと主張するCBS側が真っ向から衝突、異例の長期ブラックアウトにつながった。最後はデジタル配信権を最後まで譲らなかったCBSTWCが白旗を上げたかたちだ。

 

CBSNetflix(ネットフリックス)やアマゾンなどが展開するストリーミング配信サービスへの番組販売にも積極的に取り組んでおり、ムンベス氏は、同収入がグループ企業全体の重要な位置を占めるまでに拡大していることを明らかにしている。

 

米調査会社eMarketer(イーマーケッター)によれば、13年におけるネット配信番組に出稿される広告料は412000万㌦。テレビCM6%に留まる額だが、昨年度から42.4%も増加しておりテレビCM2.8%増を大きく上回っている点が注目されている。

 

一方、ネット上の番組視聴時間はテレビ視聴時間の2.3%に過ぎないことを指摘、ネット番組人気がバブル気味であることを指摘する向きもある。

<テレビ朝日アメリカ 北清>