新番組初舞台はモバイルに

米メディア娯楽企業大手ウォルト・ディズニー傘下の子供向け専門局が新番組を放送に先駆けモバイル視聴向けに公開する画期的な戦略に打って出た。小学校前の幼児の間でタブレット型情報端末や高機能携帯電話(スマートフォン)などモバイル・ディバイスの利用率が予想外に高いことを受けてのことで、幼児視聴者に新番組をまずはタブレットなどで親しんでもらい、その後、オンエア視聴に誘導するのが狙いだ。新視聴者発掘の一環でもある。

話題の番組はディズニーの新作で幼児向けアニメ西部劇『Sheriff Callie’s Wild West』(キャリー保安官のワイルド・ウエスト)の新シリーズ。初回から9回分をモバイル・ディバイスの中でも幼児の利用度が最も高いタブレット(アイパッド)に絞って1124日から来年16日まで数週間にわたって公開。その後は既存ケーブル局、ディズニー・チャンネルとディズニー・ジュニアにプラットフォームを移し放送する。指定されたCATV(ケーブルテレビ)事業者の加入者であることが条件で、アイパッドに専用アプリケーション(Watch Disney Junior app)をダウンロード(無料)すれば視聴できるTV Everywhere(どこでもテレビ)型サービスだ。

同企画についてディズニー・ジュニア・ワールドワイドの専務ナンシー・カンター氏は、「このアプローチはまったく新しいもの。幼児の間でタブレットを使った番組視聴が何億分にも上る驚くべき普及率に達していることが判明したからだ」と、説明している。カンター氏によれば、同アプリ(Watch Disney Junior)が登場したのが126月。以降、アプリのダウンロード数は500万件。ビデオ閲覧数は65000万件に達している。

ところで、米調査会社コモンセンス・メディアがこのほど発表したデータによると8歳以下の幼児がいる世帯におけるタブレットの普及率は11年の8%から13年には40%と急上昇中。今後も普及率は上昇カーブを描き続けるという。

但し、幼児の間で相変わらず人気なのがテレビ視聴。「一日に一度はテレビを見る」と答えた幼児が全体の58%に上ったのに対し、モバイル・ディバイスを使うと答えた同層幼児は17%。コンピューターを使うは14%にとどまった。また、同調査によれば、幼児が何等かの画面を見る時間は一日平均1時間55分。そのうち57%がテレビ視聴に費やされていることも分かった。テレビについで多いのがDVD視聴で19%、モバイル視聴は13%、ビデオ・ゲームが9%などとなっている。

 

<テレビ朝日アメリカ 北清>