ペイテレビ解約数が過去最悪

米メディア企業に次いで、ペイテレビ事業者が201379月期の決算を相次いで発表した。ペイテレビ各社は、テレビ番組の再送信を中心に、ブロードバンド、電話サービスを提供。米国ではケーブルテレビ(CATV)、衛星放送、電話会社の三者が同事業に従事している。

米調査会社「モフェット・ネイサンソン」によれば、ペイテレビ業界全体で前年同期比12%増となる113000人の加入者がサービス解約に踏み切り、近年最悪の記録となった。そして今回の決算報告からは、3サービスの中で特にテレビ再送信サービスの不振が浮き彫りになった。年々値上がりを続ける加入料に嫌気がさしてる消費者が離反しているからだが、代替サービスとしてネットフリックやフールーなどインターネットを使った動画配信サービス人気がうなぎのぼりになっている。「コードカッティング(ペイテレビ解約)現象が現実のものになってきた」との見方も広がっている。

一方、各社ともブロードバンド・サービスのみに契約する傾向が鮮明になっている模様だ。

ところで、ペイテレビ事業者別に見ると、電話会社(ベライゾンFiOSAT&Tユーバース)は加入者が増えたほか、衛星放送のディレクTVも増加しており、唯一CATVが足を引っ張っる構図になっている。

そしてCATV事業者の中でもコードカッティングが顕著なのがタイムワーナー・ケーブル(TWC)だった。同社は同期、CBSネットワークなどを傘下に置くCBSコーポレーションとの間で、再送信料をめぐる交渉が暗礁に乗り上げ、同社加入者が1ヵ月以上にわたりCBS系列の番組が見られなくなる異例の“ブラックアウト”状態が発生。同期の解約者数は30万人にも上ってしまった。

さて、ペイテレビ各社の決算内容を見ると、最大の解約者数を記録したTWCのペイテレビ事業売上高は前年同期比0.7%増となる457900万㌦。ブロードバンド・サービスの売上高が前年比14.2%の伸びをみせるなど貢献したほか、テレビ番組再送信サービスも加入料の値上げが増収に寄与した。テレビ局などからの相次ぐ再送信料値上げの対応策として加入料値上げを余儀なくされているペイテレビ事業者は大きなジレンマに陥っている。

このほか、CATV最大手コムキャストのペイテレビ部門の売上高は同5.2%増の105億㌦(1125日号既報)。ディレクTVペイテレビ事業の売上高は同7%増となる617000万㌦。ベライゾンは同13.4%増28億㌦などとなっている。

 

<テレビ朝日アメリカ 北清>