新シーズン、タイムシフト視聴が顕在化

9月から始まった米テレビ新シーズン(201314年シーズン)でHDD内蔵型のデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)やネット上の動画配信サービスなどを使ったタイムシフト視聴が顕在化している。番組の中にはタイムシフト視聴数が放送時に番組を見るリアルタイム視聴数を上回るものまであらわれている。特に広告主が重視する視聴者層(1849歳)の間でタイムシフト視聴が活発で、ネットワークテレビ幹部や広告主から大いなる関心が寄せられている。

米メディア企業21世紀フォックス傘下の若者向けケーブル局「FX」が毎週水曜日夜10時に放送する人気犯罪捜査ドラマ『The Bridge』 は、広告主がターゲットにしている1849歳層で、DVRを使った番組視聴数(放送後7日間)がリアルタイム視聴数を上回る初めての番組(業界誌バラエティー)となった。ちなみに、米ニールセン社によれば、米テレビ世帯におけるDVR普及率は現在48%。1849歳層では51%に達している。

タイムシフト視聴が顕著になっている番組はケーブル局に多いが、地上波テレビネットワークにも同様な傾向が表れている。CBSコーポレーションとタイムワーナーが共同出資する若者向けミニ・ネットワーク「CW」の人気番組『The Vampire Diaries』 (吸血鬼ドラマ)や同番組のスピンオフ版『The Original』のDVR視聴数がリアルタイム時の倍以上を記録する週もあるほどだ。

地上波テレビ4大ネットワーク(ABCCBSFoxNBC)を見ても、プライムタイム番組が放送後7日間のDVR視聴を加算すると、8割近く視聴者数が底上げされる番組が並んでいる。Foxのコメディー番組『New Girl』の視聴者は79%増、CBSの探偵物語『Elementary』が74%増、Foxのホラー・ドラマ『Sleepy Hollow』が69%増、などといった具合だ。

一方、タイムシフト視聴の中で、ネット上のオンデマンド・サービスを利用する視聴者が急増しているとする報告も出ている。前述のVampireは、オンライン上の番組視聴回数がある週に231万回にも上り、リアルタイム視聴者数207万人を軽く超えている。こうした傾向は今後も増大する模様で、米調査会社フォレスタでは、ネットを利用したタイムシフト視聴がDVRによるものを超える日も近いと見ている。DVR視聴と違ってネットの場合はテレビ受像機にこだわることなくスマホやタブレットなどを使って好きな場所で見ることができるうえ、録画予約をせずに済む利便性が若者の心を掴み始めている。

 

<テレビ朝日アメリカ 北清>