CNNが再起をかけ編成替え

視聴率低迷を続ける米ニュース専門局CNNが大がかりな編成替えに踏み切ることになった。CNNワールドワイドを率いるジェフリー・ザッカー社長(48)(写真・右)がこのほど、米政治・メディアサイト「キャピタル・ニューヨーク」 とのインタビューで明らかにしたもので、「過去12年間、ニュース専門局視聴者総数は頭打ち、新たな視聴者の開拓が求められている。我々に求められているものはストレートニュースを少なくし、(ショーアップした)番組を増やすことだ」と強調、プライムタイム番組などの刷新に着手することを明らかにした。

ザッカー氏は、「視聴者は(どのチャンネルも見ても)同じ情報を与えられているのが現状」と指摘し、「CNNの視聴者には、『そうだったのか!』『知らなかった!』などという印象を持ってもらえるようなチャンネルにしたい」と抱負を語った。「ライバル局Foxニュース・チャンネル(FNC)やMSNBCと常に比較される、という構図から脱却し、ドキュメンタリー専門局ディスカバリー・チャンネルや歴史専門局ヒストリー・チャンネルをひいきにしているような(CNNに忠誠な)視聴者を確保しなければならない」とも述べている。

 約1年前にCNNの再建を託され就任したザッカー氏の考え方に対しては、創設者テッド・ターナー氏が唱えた「ニュースが主役」をモットーにしてきた生え抜きのスタッフなどからは抵抗があった模様だ。しかし、今やCNNの人気ナンバーワン番組は異色シェフが世界の様々地域に冒険に出かける『アンソニー・ボーデン:Parts Unknown (知られざる地域)』と、ニュースには直接関係のない番組であること、水族館でシャチに殺された調教師を扱ったドキュメンタリー・スタイルの特別番組が高視聴率を獲得したことなどから、ザッカー氏は自らの方針に手応えを感じている模様。

今後は、これまで週末に限定されていたアンソニー・ボーデン型の番組が週日プライムタイムに数多く登場する可能性もありそうだ。

ザッカー氏はまた、「テレビ放送が引き続きCNNにとって本業であることに違いはないが、デジタルの重要性が日ごとに増している」と述べ、高機能携帯電話(スマホ)やタブレット型情報端末に向けた番組のネット配信の重要性を強調している。

ちなみに、12月上旬の午後9時台の番組視聴者数を見ると、CNN454000人と、FNC2495000人、MSNBC914000人に大きく水を開けられている。

 

<テレビ朝日アメリカ 北清>