拡大を続けるオリジナル番組編成

米ペイテレビやオンラインビデオ業界の専門誌「マルチチャンネル・ニュース」は昨年末号の特集記事で、同業界が2014年に直面する様々な関心事を予測した。ペイテレビ事業者(CATV、衛星放送、電話会社)が配信するケーブル専門局については、オリジナル番組制作がさらに熱を帯びていくと見ている。

 

また、CATV業界で合併の動きが加速し、2014年が“取引の年”になると予想している。そして、CATVの寡占化に伴い、消費者によるインターネットへのアクセスを制限する動きが出てくることを懸念、米連邦通信委員会(FCC)が難しいかじ取りを求められることになる、としている。

さらに、ネット上の番組配信が、ペイテレビ事業者が独占してきた番組配信サービスを脅かす存在になっていくこと。各スポーツ・リーグによる放映権料の値上がり傾向が今後も続くこと。その余波を受けて、地上波テレビネットワークやケーブル局がペイテレビに突きつける配信料値上攻勢がますます強まっていくことなどを予想している。

ケーブル局によるオリジナル番組制作については、地上波テレビネットワークを尻目に数々のヒット作に勇気づけられる形で14年も各社が引き続きオリジナル番組を投入していくという。かつてはネットワークテレビ番組の再放送を主体にしてきたケーブル局が、「オリジナル番組のおかげでチャンネルのアイデンティティーが明確になってきた」などと手ごたえを感じているという。

一方、ネットフリックスやフールーなど、インターネット上の番組配信会社によるオリジナル番組の制作もこれまで以上に活発になっていくとし、ケーブル局にとって“油断禁物”な状況が続きそうだ。

CATV業界については、昨年暮れ以来、全米第4位のチャーター・コミュニケーションズによる第2位のタイムワーナー・ケーブル買収の動きが表面化するなど、ウォール街からはCATV界にとって90年以来となる“取引(吸収合併)の年”になるとの見方を示している。消費者によるCATV離れやテレビ局などからの再送信料値上げ攻勢に業界再編の動きが現実味を帯びてきているという。

また、NBA(全米プロバスケットボール協会)とテレビ局との新契約交渉(現行総額93000万㌦)が満期となる201516年シーズンを待たずに今年中に始まる模様で、NBA側がさらなる値上げを求めるのは必至としながら、スポーツ物件のさらなる高騰を予測している。

 

<テレビ朝日アメリカ 北清>