米TWの4Qは11.6%の減益

CNNテレビやHBOなどのケーブル局群、さらには映画会社ワーナー・ブラザースなどを傘下に置く米メディア企業大手タイムワーナー(TW)がこのほど発表した20131012月期決算は、売上高が前年同期比5%増となる86億㌦、純利益は前年同期比12%減の11億㌦となった。増収には映画部門と放送部門の配信料収入のアップなどが大きく寄与した。しかし、有料チャンネルHBOなどへの新番組制作費への投資が響いたほか、出版部門の不振ぶりが足を引っ張った格好で大幅減益を記録した。

部門別でみると最も元気だったのが映画部門。同部門に含まれるホーム・ビデオの売上が芳しくなかったものの、SFサスペンス映画『ゼロ・グラビティ』がアカデミー賞作品賞にノミネートされるなど大ヒットとなったほか、ファンタジー映画『ホビット 竜に奪われた王国』も大人気だったこともあり、同部門の売上高は前年同期比7%増の40億㌦。営業利益は同4%増となる57300万㌦となった。

放送部門では今まで公開されなかったHBOの単独売上高などが明らかにされ注目を集めた。TWのジェフリー・ビューケス最高経営責任者(CEO)は同チャンネルの加入者数が17年ぶりの高水準に達したことを発表、売上高は前年同期比6%増の13億㌦となった。プレミアム・チャンネルの雄HBOは人気がうなぎのぼりのインターネット上のテレビ番組・映画配信サービスNetflix(ネットフリックス)に押され気味。そのネットフリックスに対し久方ぶりにHBOの健在ぶりをアピールした。ただ、営業利益は12%増となった番組制作費が響き、同4%減となる41300万㌦だった。

放送部門(ターナー・ブロードキャスティング)は、CNNHLNからなるニュース専門局グループの広告収入が不調だったが、総合番組編成のTNTなどがペイテレビ事業者から徴収する送信料アップ(同6%増)を獲得、同部門の売上高は前年同期比3%増の25億㌦となった。営業利益は番組制作費や番組宣伝費などがかさみ同10%85300万㌦。

一方、ここ数年不振を続ける出版部門(タイム・インク)の広告収入は若干持ち直したものの、購読量が同6%減少となり売上高はほぼ横ばいの96600万㌦だった。営業利益は同47%1700万㌦。出版部門には雑誌タイムをはじめピープルやスポーツ・イラストレイテッドなど数々の人気雑誌があるが、今年半ばに分離されることが決まっている。TWは今後、放送・映画に特化するメディア企業に変貌する。

<テレビ朝日アメリカ 北清>