米ネット広告、TV広告を超過へ

米インターネット調査会社eMarketer(イーマーケター)はこのほど、2018年までに米国におけるネット広告費がわずかならがもテレビ広告を追い抜くと予想した。同社によれば、14年のテレビ広告費は総広告費の38.1%を占めネット広告の27.9%に大きく水を開けるが、18年までにはテレビ広告のシェアが36.1%と微減し、逆にネット広告が36.4%と拡大。わずかながらもテレビをおさえ広告媒体トップの座を奪うと予想している。ネット広告の拡大は、基本的には新聞、雑誌、ラジオ媒体に加え屋外広告が犠牲になるとしている。

また、米企業の間で広告予算をネット広告に振り向ける社が急増しているが、テレビ広告への出稿を急減させる社はあまりなくテレビが引き続き強力な広告媒体であり続けるとしたうえ、テレビ広告とネット広告が共食い状態に陥ることはないと強調している。

ちなみに、テレビ・ネット以外の媒体を見ると、新聞は14年におけるシェアが9.5%のものが、18年には7.4%に、雑誌は同じく8.4%7.0%に、ラジオは8.6%7.2%と引き続き下降線をたどりつづける見込みだ。

 

一方、ニールセン社は最新調査の中で、201346月期における月間テレビ視聴時間が10年同期に比べ約3時間増え146時間37分と、ネット上や高機能携帯電話(スマートフォン)を使った番組視聴時間を大きく引き離していることを明にした。「当面、広告市場がテレビの独壇場になることは疑いの余地がない」と結論付けている。ニールセンでは13年のテレビ広告への支出額は約780億㌦に達したと見ている。

同社はさらにテレビ広告の影響力についても言及。米消費者の62%がテレビ広告へ信頼を寄せているほか、68%がテレビ広告を見て商品の購買他を決めると答えていることを紹介している。

また同社ではテレビ番組をテレビ受像機以外(セカンド・スクリーン)で見るデジタル視聴者が急増していることも指摘。それらの番組に挿入される動画広告、いわゆるオンライン・ビデオ広告への支出も増え続けていくと予想している。同社の調査ではネット上の動画視聴時間は10年の3時間30分(月間)から12年の6時間28分とほぼ倍増。スマホを使った動画視聴時間は同3時間37分から5時間45分と、こちらも急増している。

ちなみに、イーマーケターは、14年のオンライン・ビデオ広告費は572000万㌦に達するとし、ネット広告の中でも急成長を遂げると見ている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>