米報道機関の収入が3割の落ち込み

米報道機関全体の2013年における収入が06年と比べ三分の一に落ち込んだことが明らかになった。米調査会社ピュー・リサーチ・センターがこのほど発表したもので、米国の新聞やテレビ、さらにはインターネット上の報道機関全体の売上高は06年時の940950億㌦から630650億㌦と大幅に落ち込んだ。視聴者数や購読者数の減少、それにともなう広告収入の落ち込みが要因だ。

 

逆に、様々なイベントの主催やネットに関するマーケティング・サービスなど副業の売上高が4倍の伸びを示している。ただ、同副業収入の全体に占める割合は現在8%ほどと、まだ微々たるものに留まっている。

広告収入を見ると、06年は収入全体の82%を占めていたが、13年には69%に低下した。大きな打撃を受けていているのが新聞業界だ。06年から12年の間に55%も減少したことが特筆される。

収入が減れば経営が困難になるのは自然の流れ。非営利団体、米新聞編集者協会(ASNE)によれば、同期間中に新聞社の編集部に勤めるフルタイム従業員17,000人が解雇されたという。

 

ただ、新聞社の購読収入を見ると、06年から11年まで5年間続いた減少傾向は12年にくさびが打ち込まれ朗報となっている。購読料の値上げに加え、有料電子版の加入数が増えたことが寄与し、12年には5%の収入増に転換した。

ところで、新聞ジャーナリズムの終焉をささやく向きが少なくないが、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルの編集主幹ジェラルド・ベイカー氏は、「新聞の将来は決して暗くない」と強調する。活字ジャーナリズムが米社会にとって極めて貴重な存在でありつづけることを予想するベイカー氏は、最近起きている米大富豪の新聞社買収の動きを一例として挙げている。ワシントン・ポスト紙を買収したインターネット通信販売サイト、アマゾンのCEOジェフ・ベソス氏、複数の地方紙を買収した著名な投資家・経営者であるウォーレン・バフェット氏などを挙げ、「新聞ジャーナリズムが見放されたビジネスではないことは明らかだ」と指摘する。ただ、「デジタルへの移行は避けられない道」との考え方も強調している。

一方、地上波やケーブル局のテレビ報道番組は、ペイテレビと呼ばれるCATVや衛星放送、さらには電話会社から徴収する配信料の増収が助っ人となっている。13年の配信料収入は06年に比べ倍増していて減少気味の広告収入を補完するまでに至っている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>