スマートテレビが急増の兆し

Netflix(ネットフリックス)やHulu(フールー)、さらにはYouTube(ユーチューブ)、Amazon Prime(アマゾン・プライム)、Yahoo Screen(ヤフー・スクリーン)など米国ではインターネットを使ったテレビ番組配信サービスが花盛りだ。地上波テレビネットワークが放送したプライムタイム番組や映画などが主なコンテンツで、有料かつオンデマンド方式で提供するものが多い。最近は各社オリジナル制作番組に力を入れ始めており、米テレビ界最高の栄誉とされるエミー賞を獲得する番組も現れ、既存テレビビジネスに大きな影響を与え始めている。

米調査会社TNSがこのほど発表した調査結果によれば、全テレビ世帯の約三分の一に相当する34%が何等かのネット配信サービスに加入していると答えた。ただ、これらストリーミング世帯の大半がペイテレビ・サービス(CATV、衛星放送、電話会社が提供する番組配信)にも加入していると答えた。ストリーミング世帯の26%がペイテレビ配信の番組とネット配信による番組双方を視聴していて、ネット配信番組のみ視聴していると答えた世帯はわずか8%に留まっておりペイテレビ業界が懸念する解約の動き(コードカッティング)はいまのところ急拡大はしていないことが明らかになった。

しかし、TNSは、ペイテレビのみに加入する世帯(全体の55%)が急速に減少傾向にあることを指摘、過半数を割るのは時間の問題と見ているようだ。そんな傾向を裏付ける別な調査結果も出ている。BIインテリジェンスの予測によれば、インターネット接続器内蔵型の「スマートテレビ」の出荷台数が来年には全体の54%に達するが、その割合が16年までに63%17年には73%にまで大きく拡大するという。

スマートテレビ保有者も今年末には2920万軒、15年には3590万軒、16年には4020万軒と上昇カーブを描いていくことになりそうだ。

また、既存のテレビにネット配信番組を取り込むことの出来る、「Apple TV」や「Roku」などストリーミング・ディバイスを取り入れる世帯も増えている。同社は13年におけるアップルテレビの出荷台数は800万、Roku450万に達したと見ている。

調査会社NPD Connected Intelligenceは、いずれかの方法でインターネット配信番組をテレビ受像機で視聴できる世帯が17年までに2400万軒に達すると見ており、リモコンを持った視聴者が、地上波テレビやケーブル局に加えネット配信番組を自由自在に差別なく視聴する時代が間近に迫っている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>