世帯視聴率王者の地上波テレビCBSネットワークなどを傘下に置く米メディア企業CBSコーポレーションはこのほど2014年7-9月期決算を発表した。基幹事業CBSネットワークの広告収入が今シーズン放映権を獲得したNFL(米プロフットボール協会)試合中継番組『サースデーナイト・フットボール(TNF)』や中間選挙広告に助けられ前年同期比2%増。海外やデジタル配信会社などへの番組販売売上が4%増となったことなどから、全体の売上高は前年同期比2%増となる33億7000万㌦だった。継続事業利益は前年同期比83%減少となる7200万㌦に留まった。TNFなど番組編成予算に多額な投資をしたことなどが影響した。
部門別でみると、CBSネットワークを中心としたエンターテイメント部門の売上高はほぼ横ばいの19億1000万㌦。有料チャンネル「Showtime」やスポーツ専門局「CBSスポーツ・ネットワーク」などを包含するケーブルネットワーク部門の売上高はショータイムの番組再販などが好調で、5%増となる6億2400万㌦となった。ローカルテレビ局やラジオ局からなるローカル・ブロードキャスティング部門の売上高は選挙CMなどが寄与し、売上高は6%増6億8000万㌦だった。
決算報告では、ニュース専門ネットサイト「CBSN」の立ち上げやソニーが年内に開設を目指しているネット配信サービスにCBS傘下の様々なコンテンツを提供する決定を発表するなど、デジタル・プラットフォームへの展開をアピールした。
一方、2005年にCBSから分離されたバイアコムの同期決算は、傘下のケーブル局群の視聴率低調で広告収入が落ち込んだものの、パラマウント映画などを傘下に置くフィルムド・エンターテイメント部門が好調で、売上高は前年同期比9%増と市場の予測を上回る39億9000万㌦を記録した。映画『ミュータント・タートルズ』、『トランスフォーマー/ロストエイジ』などがヒットしたことが大いに貢献した。純利益は利息払いが響き、8.9%減8億400万㌦だった。
ケーブル局を抱えるメディア・ネットワークス部門は、決算発表に先立ちCATV事業者サドンリンク・コミュニケーションとの新配信契約を失う事態が発生。同社ケーブル局の真価を問う声も上がっていたが、他ペイテレビ(CATV、衛星放送、電話会社)事業者から徴収する配信料が増収となり、売上高は同8%増の26億6000万㌦だった。
通期決算も同日発表され、売上高は前年度比横ばいの138億㌦、純利益は3%増23億8000万㌦だった。