バイアコム、新OTTサービス立ち上げへ

若者向けチャンネルMTVや子供向け番組専門局ニコロデオン他人気ケーブル局群などを傘下に置く米メディア企業大手バイアコムが20141012月期の決算を報告した。

その中で、同社の看板ケーブル局ニコロデオンをインターネット経由で有料配信する新たなサービスを3月中に立ち上げることを発表、高い関心が寄せられた。

同社社長兼最高経営責任者(CEO)フィリップ・ダウマン氏は、新サービスによってニコロデオン番組がペイテレビ(CATV、衛星放送、電話会社)と呼ばれる再送信・配信サービス非加入世帯でも視聴できることを強調、「消費者にとって非常に魅力のある新サービスになる」と強調した。

ペイテレビを介した既存の番組配信ではこれ以上の視聴者獲得は難しいとの考えのもとに、1000万世帯と言われるブロードバンドのみ加入している世帯がターゲット。今後増え続けると見られるペイテレビ解約者(コードカッター)の取り込みも視野に入っている。米国では最近、有料チャンネルの雄HBOCBSネットワークなどが同様なサービスの立ち上げを発表している。

 さて、決算内容は、ケーブル局グループが米国内で放送する番組の視聴率が芳しくなかったものの、海外では好調だったことや、映画部門が健闘したことで、売上高は前年同期比5%増となる334000万㌦。純利益は国内広告収入源が響き同9%減となる5億㌦だった。

部門別でみると、ケーブル局を束ねるメディア・ネットワーク部門は、米国内の広告収入が視聴率低下にともない前年同期6%減と振るわなかったが、ペイテレビから徴収する配信料が増収になったこと、海外市場における番組CM収入が同3%増となったことなどから売上高は前年同期比4%となる265000万㌦となった。

バイアコムでは米国内の番組市場が飽和状態に近づいてるとの判断のもとに今後ますます積極的な海外進出を展開する予定だ。決算報告に先立ち、インドのエンターテイメント局の持ち分50%を取得することで同国最大のコングロマリット、リライアンス・インダストリーズとの合意が間近いことが報じられている。

一方、好調さが目立ったのが映画部門(パラマウント映画)。ワーナー・ブラザースと共同出資して制作したSF映画『インターステラー』やアニメ映画『ミュータント・タートルズ』の新作がヒット作となり同部門の売上高は前同期比6%増となる7200万㌦だった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>