21世紀Fox、市場予測を上回る業績

世界のメディア王の異名をとるルパート・マードック氏率いる米メデァイ・娯楽大手、21世紀フォックスがこのほど発表した20141012月期決算は、売上高が前年同期比1.3%減の806000万㌦。純利益は衛星事業の売却で約50億㌦の特別利益を計上したため、前年同期比5倍超となる62700万㌦を記録した。

同社傘下は主にケーブル・ネットワーク・プログラム部門、テレビ部門、フィルムド・エンターテイメント部門、衛星放送部門の4部門からなるが、同季は主にケーブル・ネットワーク・プログラムとフィルムド・エンターテイメントが健闘した。

グループ全体の中でも稼ぎ頭だったのが相変わらず好調なケーブル・ネットワーク・プログラム部門。特に若者専門局FXやニュース専門局Foxニュース・チャンネル、さらにはスポーツ専門局Fox Sports 1などの人気を楯にペイテレビ事業者(CATV、衛星放送、電話会社)から徴収する配信料が前年同期比19%アップしたこと、CM(コマーシャル)収入も同11%増と好調だったことから同部門売上高は前年同期比14%増の338000万㌦となった。米スポーツ放送界で圧倒的な人気を誇るESPN(ディズニー傘下)打倒を目指して開設されたFox Sports 1の放映権料が足かせになったが、それを上回る業績だった。

地上波テレビFoxネットワークと直営局からなるテレビ部門の売上高は前年同期比0.4%減となる162000万㌦。プライムタイム番組の視聴率が不振なため広告収入が3%減少したことやNFL(米プロフットボール協会)試合中継番組の放映権料が値上がったことなどが響いた。売上が微減にすんだ背景には、ペイテレビからの再送信料拡大や選挙CM収入、さらには高額制作費にもかかわらず視聴率が低迷したオーディション番組『X-Factor』とミュージカル番組『Glee』を打ち切ったことなどが挙げらる。

ケーブル局部門とならんで活況だったのが映画・制作部門(フィルムド・エンターテイメント)。番組販売が低調だったものの、映画部門はアカデミー賞にもノミネートされた『ゴーン・ガール』や『メンズ・ランナー』などヒット作にめぐまれ、同部門の売上高は昨年同期比11%増となる275000万㌦だった。

なお、同社は16年会計年度における収益を90億に掲げていたが、決算報告の中でドル高とテレビ部門の不振を理由に80億㌦に下方修正し、「市場を驚かせた」(アナリスト、チューナ・アモビ氏)。そのため直後の同社株価は4.3%下落した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>