CATV事業が堅調で増収増益

全米最大のCATV事業者でメディア娯楽企業大手NBCユニバーサル(NBCU)をも傘下に置くコムキャストがこのほど20141012月期決算を発表した。基幹事業のCATV部門(映像配信、ブロードバンド通信、ケーブル電話)が好調だったことと、NBCU部門の地上波テレビNBCネットワークが健闘したことも手伝って売上高は前年同期比4.8%増の1773000万㌦、純利益は同0.6%増の193000万㌦だった。

セグメント別に見ると、「ケーブル・コミュニケーションズ」部門の売上高は前年同期比6.1%増となる113億㌦に達した。法人向けサービスが20.8%増となったことや、中間選挙のおかげで選挙CM収入があったことなどが寄与した。ペイテレビ・サービス(ケーブル局配信及び地上波テレビ再送信)への新規加入者数は6000軒、ブロードバンド通信新規加入者375000軒、ケーブル電話新規加入者数123000軒となった。ただ、いずれも前年同期を下回っている。

一方、NBCU部門の売上高はテーマパーク部門と地上波テレビ部門が好調だったことで、売上高は前年同期比2.3%増の66億㌦となった。NBCネットワークは、サスペンスドラマ『ブラックリスト』やオーディション番組『ヴォイス』などの視聴率が好調だったことで同部門の売上高は4.8%増となる23億㌦。テーマパーク部門は新たに増設したエリア『ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリーポッター』のおかげで入場者が増え、売上高は29.9%増となる73500万㌦を記録した。


逆にNBCUの主力事業である「ケーブル・ネットワークス」部門が不調だったのが特筆される。ペイテレビ事業者から支払われる配信料が4.6%の増収となったものの、視聴率が低迷したことで広告収入が5.6%減少したことや番組制作予算がかさんだことなどマイナス要因が重なり、売上高は0.1%増とほぼ横ばいの23億㌦に留まった。フィルムド・エンターテイメント部門(ユニバーサル映画他)も前期に見合う映画のヒット作がなかったことやDVD販売が不振だったことから売上高は10.6%減となる13億㌦におわった。

なお、同時に発表された14年通期は、売上高は前年度比6.4%増となる6878000万㌦。純利益は20.4%859000万㌦に達した。

同社は昨年2月、CATV全米第2位のタイムワーナー・ケーブを総額452億㌦で買収する提案をしたが、米連邦監督機関がいまも調査中。両社の合併は独禁法に抵触するため認められないだろうとの悲観論も出ているが、「6割の可能性で最終的には承認されるだろう」(著名アナリスト、クレイグ・モフェット氏)との楽観論もある。

<テレビ朝日アメリカ 北清>