米国でミレニアル世代と呼ばれる若者層の間でテレビ受像機の利用回数が急減していることが明らかになった。米ニールセン社によれば、テレビ番組をテレビで見るミレニアルが今シーズン前半にあたる昨年9月から今年1月の間に10.6%も減っているという。米広告主が一大ターゲットにしているミレニアル世代はスマートフォンなどを使ってテレビ番組を見る傾向が高く“テレビ離れ”が進んでいることは周知の事実だが、急激な変化に米専門家の間に衝撃が走っているようだ。
地上波テレビNBCネットワークや多数のケーブル局などを傘下に置く米メディア大手NBCユニバーサルの調査部門トップ、アラン・ウォーツェル氏は、「(ミレニアルによる)ストリーミング視聴やスマホを使ったモバイル視聴数はここ1年で倍増している。驚くべき視聴習慣の変化と言わざるを得ない。こんな変化はこれまでに経験したことがない」と述べている。広告会社ホライゾン・メディアのチーフ・リサーチャーを務めるブラッド・アドゲイト氏は、「4年前に比べプライムタイム番組をテレビ受像機で見る若者視聴者が20%も減ったことになる」と分析している。
番組制作者などでつくる米テレビ業界団体「NATPE(ナッピー)」が今年1月に発表した調査結果でもテレビ受像機を番組を見る際の主な手段にしているミレニアルが55%に留まっており、パソコンを始め、スマホやタブレットなどモバイル・ディバイスを番組視聴に利用するミレニアルに追い越されそうな気配になっている。
ニールセンによれば、2011年に番組をテレビで見ていた同世代は約2170万人。ところが今年1月末時点には1780万人にまで減っているという。若者のテレビ離れが主因で今年度の米テレビ視聴者の年齢中央値は50歳、広告主やテレビ局経営陣が金科玉条としている視聴者ターゲット18-49歳を上回ってしまった。「テレビを見ること」が時代遅れのものとの観念が広がれば、年間800億㌦とも言われるテレビ広告市場に大きな地殻変動が起きるとの懸念の声も上がっている。
ただ、若者によるネットフリックスなどを利用したオンデマンド視聴が過去1年で22%も増えていて、ウォーツェル氏は「番組を見なくなったのではなく視聴方法が変わっている」ことを強調している。
ミレニアル世代とは米国で2000年代に成人あるいは社会人になる世代。ニールセンが対象としたのは18-34歳視聴者。