米地上波テレビNBCネットワークは3月7日、ラスベガスのMGMグランド・ホテルで開催されたボクシング試合『プレミアム・ボクシング・チャンピオンズ(PCB)』をプライムタイムで放送した。ボクシングがネットワークテレビで放送されるのは30年ぶりのこと。ネットワークテレビにボクシングが再び定着するのかどうか、注目が集まるなかでのデビュー戦となったが、ニールセン社の速報によれば米東部時間午後8時半から11時まで放送された中継番組は平均視聴者数340万人、世帯視聴利率2.11%(シェア4%)だった。ホームラン級とまではいかなったが、NBCを同夜の視聴率王に導く好結果ではあった。
ボクシングは50年代から60年代にかけ人気沸騰。ピークは1週間に6つものボクシング番組がプライムタイムで放送され、人気ボクサーはソープオペラ番組の主人公や全国向けの夕方ニュース番組のキャスターと肩を並べるほど市民に親しまれていたという。
ところが、各プロモーターが人気カードに収益性の高いペイ・パー・ビュー(PPV)方式を採用し劇場や有料ケーブル局に移動するや、ネットワークテレビが放送するボクシング番組の視聴率が急降下。若者視聴者に背を向けられたこともあり、ボクシングはネットワークテレビから姿を消してしまった。ちなみに、NBCがプライムタイムでボクシングを放送したのは1985年5月。ヘビー級・チャンピオンシップ試合、ラリー・ホームズ対カール・ウィリアムズ戦。この時の世帯視聴率は18.5%に達した。
PCBシリーズはハーバード大学ビジネススクール卒業のアル・ヘイモン氏率いるプロモーション事業者「ヘイモン・ボクシング」がNBCに提案したもの。向う3年間にわたりNBCが20試合の放送枠を提供。これに対しヘイモン・ボクシングが2000万㌦を支払うことで合意した。番組制作は、ベテラン・アナウンサーや解説者などの提供も含めNBCネットワークが担当するが、番組のスポンサー探しはヘイモン側が担当。CM収入も同社のものになるという。試合の一部はスポーツ専門局NBCスポーツ・ネットワークでも放送され予定。
ヘイモン氏はCBSネットワークとも同様な契約を締結。4月4日に放送予定のデビュー戦を皮切りに今年中に8イベントが放送されるという。ボクシング愛好家からは「無料放送(ネットワークテレビ)で試合が見れるようになれば、ボクシング熱も復活する」と期待が寄せられている