エンパイア、記録ずくめの最終回

今シーズン米テレビ界で話題を独占している番組といえば地上波テレビFoxネットワークの新番組『Empire 成功の代償』(以下、エンパイア)。1月に放送されたデビュー作は視聴者数990万人と華々しいとは言えないものの無難なスタート。ところが2回目以降に異変が起こった。新番組の2回目は視聴率が下がるのが相場だが、エンパイアの場合は回を追うごとに視聴率が上昇するという米テレビ界でも極めて異例な人気を博した。

そしてシリーズ最終回が318日、2時間の拡大番組(午後810時)としてプライムタイムで放送され高視聴率を獲得、有終の美を飾った。広告主のターゲット層(1849歳)の視聴率は6.5%を記録、Foxにとって3年ぶりの好記録を樹立。番組全体の平均視聴者数は1670万人。レギュラー枠(午後910時)の視聴者数は1760万人にも達し、地上波テレビ番組の今季ナンバーワンにランクされた。

ニールセン社によれば、ネットワークテレビが放送した最終回としては、ABC2005年に放送した『グレイズ・アナトミー:恋の解剖学』以来の記録。AP通信は、「(衰退が取沙汰される)地上波テレビネットワークが引き続き大ヒット番組を生み出す力を秘めていることを証明した」などと伝えている。Fox関係者によれば、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)などを使った見逃し視聴を加えれば最終的な視聴者数は2700万人を超える見込みだ。

また、最終回をめぐって簡易ブログ、ツイッターを使った会話が240万件にも上り、ソーシャル・ネットワーク利用状況などの調査にあたるニールセン・ソーシャルによれば1番組当たりのツイッター数最高記録を樹立した。フェイスブックでは420万人が交わしたエンパイアに関する感想やコメントが1580万件に上った模様。不振続きだったFoxネットワークにとっては「嬉しい誤算」。一挙に活気が戻っている。

エンパイアの主人公は、スラム街で育ち、麻薬売買で生計を立てていた男ルシウス・ライオン。ルシウスはその後、比類ない音楽の才能を発揮し大手レコード会社「エンパイア」を設立、ヒップホップの帝王になる。しかし、ある日突然、不治の病にかかり余命宣言を受けたルシウスは帝国のトップの座を3人の息子のだれに明け渡すかで葛藤する。元妻もからんだ家族の確執や権力争いが描かれているエンターテイメント・ドラマだ。

日本でも3月からFoxチャンネルズで放送されている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>