番組早回しでCM枠増

米ケーブル局の間で、番組本編の放送スピードを速め、より多くのCM(コマーシャル)枠を確保する手法が多用されている。視聴率低下にともなう広告収入を補う苦肉の策だ。同手法は以前にも試みられたことがあり決して新しものではないが、「ここ数年、コントロールできないほど増えている」(番組配信会社幹部)模様で、物議を醸し出している。こうした傾向は映画やドラマの再放送番組で顕著にみられ、新番組には採用されていないという。

米経済紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、米国人作家で映画『オズの魔法使い』の大ファンでもあるスティーブン・コックス氏が昨年暮れ、人気ケーブル局「TBS」(タイムワーナー傘下)が放送した同映画の再放送版を見ていたところ、人気キャラクターであるマンチキンズの声が甲高く聞こえたことに違和感を感じた体験を紹介、コックス氏以外にも異変に気付いている人が大勢いることを指摘している。

ケーブル局の中には本編の早回しのみならず、番組冒頭で登場人物などを紹介するオープニング部分などを短くカットする局もあるようだ。TBSの姉妹局「TNT」ではNBCネットワークの長寿番組『ロー&オーダー』の再放送が編成の目玉の一つになっているが、オリジナル版ではオープニングが145秒あるものを24秒に縮めたバージョンを放送しているという。米メディア企業大手バイアコムの傘下ケーブル局「TVランド」も同じくNBCの大ヒットコメディー『フレンズ』再放送版のオープニングをTNTと同様大幅に短縮している。いずれもCM時間を稼ぐためだ。

こうした傾向を受け、業界内からは様々な懸念や反発が出ている。「CMが多くなればなるほど、視聴者のCMの内容に対する集中力がうすれる」「(ターゲットにしている)若者視聴者がCM回数の少ない《無い》デジタル配信サービスに逃避してしまう」などと懸念する広告主が少なくないほか、番組制作者からは「番組再販に際し、コンテンツの内容を変更してはならない約束が交わされている。ケーブル局は違反行為をしている」などと反発が出ている。

ちなみに、WSJによれば、ケーブル局が放送する1時間番組内で放送されるCM時間は平均15.8分。圧倒的な人気を誇るスポーツ専門チャンネルESPN12.9分と平均を大幅に下回っているが、TNTでは17.4分。TBS18.6分、TVランドは22.9分、黒人向け専門チャンネルBET24.2分などとなっている。

< テレビ朝日アメリカ 北清>

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