加ペイTV、「ピック&ペイ」展開へ

カナダ政府当局はこのほど、加ペイテレビ事業者が月額加入料の安価なチャンネル数の少ないパッケージ、しかも加入者が任意のチャンネルを組み合わせすることができるアラカルト方式「ピック&ペイ」を展開することを許可した。同サービスは2016年にも始まる予定だという。“アラカルト”の導入が一向に進まない米国の消費者団体からは、「ピック&ペイ方式が普及するかどうか良い見本を示してくれるだろう」などと大きな関心が寄せられている。

カナダではCATVや衛星放送事業者などが提供する映像配信サービス(ペイテレビ・サービス)の解約傾向が急ピッチで進んでいる。加調査会社「ザ・ブーン・ドッグ・プロフェッショナル・サービス」によれば、2014年のペイテレビ加入者数は65000軒の減少を見せた。同国のペイテレビ加入世帯数が1170万軒であること考えればまだ微々たるものだが、前年に記録した減少数、数百軒に比べ急激な上昇率で、今回の決定を促す要因となっていた。同調査会社ではNetflix(ネットフリックス)など、インターネット上の番組配信サービスに顧客が流れ始めていることがコードカッティング(ペイテレビ解約)拡大を促していると見ている。

米国でもペイテレビ事業者からの再送信料や配信料が重要な収入源となっているテレビ事業者にとってコードカッティングの拡大は深刻な問題。米調査会社ライクマン・リサーチ・グループ(LRG)によれば、2014年におけるペイテレビ加入世帯数は125000軒の減少を見せた。新規加入者数を上回る解約数は同年140万軒に上った模様だ。ちなみに、全米トップ13社のペイテレビ事業者が抱える加入世帯総数は9520万軒。

もはやペイテレビからの離反傾向が無視できない米国では今年に入って様々なインターネット上の番組放送及びオンデマンド配信サービスが始まっている。ソニーが立ち上げたプレイステーション・ビューや衛星放送大手ディッシュ・ネットワークが立ち上げたスリングTVなどがその例。ただ、いずれもチャンネル数の少ないパッケージにはなっているものの、地上波テレビ放送がすべて揃っていないものや、人気ケーブル局が含まれていないものなど、選択が難しいのが現状だ。

そのため、「複数のサービスを組み合われば既存のペイテレビ料金とあまり差がなくなる」などと冷ややかな声も上がっており、「当面ペイテレビは安泰」との見方も出ている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>