モバイル広告、米中が圧倒的なシェア

スマートフォンやタブレット型情報端末利用者をターゲットにした“モバイル広告”が2016年に世界市場で1000億㌦の大台を超える見込みだ。米調査会社eMarketer(イーマーケター)によれば、13年には192億㌦だった同広告費は、14年に426億㌦、15年には687億㌦と飛躍的な伸びを見せ、16年にはデジタル(インターネット)広告全体の過半数を占めるまでに成長するという。19年には約1960億㌦に達しネット広告の70%に達する勢いだ。

モバイル広告が著しく拡大するのが米国と中国。16年には世界全体のモバイル広告費の62%が両国によるものとなる。各国の内訳を見ると米国が402億㌦でトップ。2位中国の221億㌦を大きく上回っている。両国に大きく水を開けられるかたちで3位には英国の72億㌦。これに日本が50億㌦で4位。5位には30億㌦でドイツが続いている。ちなみに、韓国は21億㌦で6位。スマホやタブレットの普及が急拡大すると見られるインドにおけるモバイル広告費は18年になっても10億㌦以下に留まることが特筆される。

モバイル広告の活況は、スマホやタブレット人気に支えられるものだが、イーマーケターによれば、16年までにスマホ利用者の数は20億人を超える模様だ。四分の一のユーザーが中国人で占められるという。

米国におけるスマホの普及率にも目を見張るものがある。米調査会社comScore(コムスコア)の調べでは09年以来毎年10%の伸びを見せ、14年には75%に達した模様だ。

ところで、モバイル広告の中でも日増しに重要性を増しているのがテレビCM型のビデオ広告。

米世論調査会社大手ピュー・リサーチ・センターの最新調査によれば、スマホ利用で一番活発なのがメッセージ交換(全体の97%)。その他、ネット閲覧(89%)やメール送受信(88%)などとなっているが、スマホ所有者全体の半数が、「週に一度はスマホで、(テレビ番組などの)動画コンテンツ視聴している」と答えている。

中でも動画視聴が活発なのが30歳以下の若者消費者。同層の75%が「スマホで動画を見る」と答えており、コンテンツ・プロバイダーや広告主がモバイル広告を出稿する際の参考になりそうだ。スマホの動画視聴は、3049歳層では46%50歳以上になると31%と、年齢が高まるにつれ利用回数が少なくなることも明らかになっている。

なお、1829歳台のほぼ全員に当たる93%が、スマホ利用について「退屈しのぎに利用する」と答えている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>