世界のメディア王の異名をとるルパート・マードック氏率いる米娯楽・メディア企業大手「21世紀フォックス」が発表した2015年1-3月期決算は、地上波テレビFoxネットワークの不調、スポーツ物件の放映権料の圧迫、ドル高による海外市場からの収入減などが影響し、前年同期比7.5%の減益、純利益は9億7500万㌦となった。ただ、減益率は市場の予測を下回るものだった。売上高は、欧州の衛星放送事業「Skyイタリア」と「Skyドイチェランド」の売却が大きく影響し、16.8%減の68億4000万㌦と減収を記録した。
部門別で見ると、「ケーブル・ネットワーク・プログラミング」部門の売上高は前年同期比13.9%増となる35億9000万㌦に達した。コミュニティー向けのスポーツ専門チャンネルや、ニュース専門局「Foxニュース・チャンネル」さらには若者向けの総合編成チャンネル「FXネットワークス」などが好調でペイテレビ(CATV、衛星放送、電話会社が提供する映像配信サービス)からの配信料収入が前年同期比14%も増大したことが寄与した。
そのほか、米スポーツ専門局の雄ESPN(ウォルト・ディズニー傘下)に対抗して創設した「Fox Sports 1」や大リーグ、ヤンキース専門局「YES Network」も好調で、番組制作費や放映権料がかさんだ若者向けチャンネル「FXX」や「STAR Sports」の経費増大をカバーした。一方、欧州や中南米市場の売上高がドル高のため圧迫されたことがマイナス要因となった。
地上波テレビFoxネットワークや直営局などを傘下に置く「テレビジョン」部門の売上高は、前年同期に放送した「スーパーボウル」の広告収入に見合うものがなく、前年同期比22.1%の減少となる12億4000万㌦に終わった。ネットワーク全体に低視聴率傾向が続いいることで広告収入が7%の減収となった。
ただ、ヒップホップ・ドラマ『Empire 成功の代償』やバットマンのスピオン・オフ番組『Gotham(ゴッサム)』など、久方ぶりにヒット番組が生まれていることで、好転するとの見方が出ている。
一方、映画部門(20世紀フォックス)他を含む「フィルムド・エンターテイメント」部門を見ると、劇場映画『96時間/レクイエム(原題:Taken 3)』と『キングスマン・ザ・シークレット・サービス』がヒット作になったことなどから売上高は前年同期比4.8%の23億9000万㌦と、グループ全体に大きく寄与した。劇場映画のほか、アニメ番組『ザ・ペンギンズfrom マダガスカル(邦題)』のDVD販売なども好調だった。